富士特殊紙業 水性印刷の注目度UP 環境対応や食の安全・安心へ

世界的な環境意識の高まりや脱炭素社会の実現を目指す活動がますます活発化する中、食品パッケージに向けられる眼も厳しさを増している。食品パッケージ製造・販売の富士特殊紙業(フジトク、愛知県瀬戸市、杉山真一郎社長)が手掛ける水性印刷の注目度が高まっている。

同社では98年、業界に先駆けて水性グラビアインキの実用化を実現。二酸化炭素(CO2)や揮発性有機化合物(VOC)の排出量削減など環境負荷の低減に大きく寄与してきた。

VOCの排出削減は製造現場の労働環境改善にもつながることから、近年はユーザーに加え同業者からも問い合わせが増えているという。

また、食品包装において、インキ・溶剤などの食品への臭い移りは最も忌避すべき要件の一つ。こうした異臭付着を回避できる点も水性印刷の特長といえる。

フジトクの水性グラビア印刷は、CO2の排出量を従来の油性グラビア印刷と比べ約44%、バイオマス油性グラビアと比べても約37%抑制できる。

22年には、軟包装用途としては世界初となる「ハイソリッド水性バイオマスグラビア印刷」の展開にも着手。インキ使用量は、油性グラビア印刷と比べて従来の水性グラビア印刷が40%減、ハイソリッド水性バイオマスグラビア印刷は60%減。CO2についても、ハイソリッド水性バイオマスグラビア印刷は、水性グラビア印刷から、さらに12%の排出削減を可能とした。

製品パッケージには水性印刷マークとバイオマスマークを併記できるため、採用企業も自社の環境姿勢をより強く打ち出せる点もセールスポイントだ。

「ジッパー付袋採用進む 米菓でも「ちょい食べ」商品など

水性印刷とともに、フジトクが注力製品として提案強化を進めているのが横方向開封ピロー「スマートカット®」および同技術を生かした「スマートカット®ジッパー袋」。

「スマートカット®」は、フジトク独自の技術で横開封を可能としたもの。これにジッパーを付けることで、従来型のピロー袋の課題点とされていた「一度開封すると開け口から中身が飛び出る」「再封しにくい」「保存性が低い」などの解消が図れる。

「スマートカット®ジッパー袋」は、これまでも大手NBメーカーやコンビニPBなどで多数採用され、その商品カテゴリーもチョコや米菓などの菓子類、粉ものやふりかけ、乾麺、スライスチーズなど多岐にわたり導入企業を増やしている。

特に米菓では、早くからCVS留型のポケットサイズで採用され、消費者の「ちょい食べ」需要に応えてきた。

採用企業の拡大を受け、フジトクでも製造体制を増強。導入企業とともに、生活者の利便性向上と環境対応の両立を目指している。

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