日清食品冷凍は24年春夏シーズンに向け、「冷凍 日清まぜ麺亭」シリーズの拡充や「冷凍 日清スパ王プレミアム」シリーズの全面刷新などを展開する。新商品発表会の席上、上和田公彦社長は「われわれは消費者が麺類を食べたいと思った時に冷凍麺が自然と選択肢に入ってくる世界を目指している。特に24年春夏は買い上げ点数アップにつながるような施策を講じていきたい」と語った。新商品・リニューアル品は3月1日発売。
開発方針について、石川和之マーケティング部部長は「現状は節約志向、外食の復活、複数回にわたる価格改定などにより、短期的に需要(食数)を押し下げる力が強い。市場データを見ても、マーケットサイズは単価アップで拡大したものの、間口は横ばいで、奥行き(購入頻度)は減っている」との認識を示し、「当社が得意とする低単価・ユニークで買いやすい商品を拡充しながら、テレビCMや売場提案などの活性化策で食数アップを図っていきたい」とした。
ラーメンカテゴリーでは、「冷凍 日清まぜ麺亭」シリーズへの期待が大きい。既存品「同 台湾まぜそば」などをより強固な柱に育成するとともに、話題性のある新商品で成長を加速させたい考え。今春夏は「同たまごかけまぜそば」をラインアップ。たまごをのせて完成するユニークなメニューに仕上げた。発売にあわせテレビCMを放映。「当社は冷凍まぜ麺でトップシェアの座にある。業界他社も巻き込みながらカテゴリーの市場規模を現行の約38億円から近いうちに80億円まで拡大させたい」(マーケティング部)と意気込む。
直近は「冷凍 日清中華 汁なし担々麺 大盛り」が絶好調。テレビCMの効果が顕著で、放映期間中の12月中旬から1月末の実績は前年比約140%となった。
また中華麺のラインアップを生かした売場提案「日清のThe ラーメン横丁」について中村稔取締役営業本部長が進捗を説明。「直近は量販店など25~30企業で実施。店頭の回転率は販売数量で1・2~1・5倍にアップしている」。今春は新たに販促物で「チャルメラ」のメロディーが流れる人感センサー付き音声POPを採用した。石川部長は「『ラーメン横丁』戦略の狙いは冷凍食品売場でラーメンを自然と想起していただけるようにすること。まだまだ消費者の認知度は低く、パスタや玉うどんに匹敵するポジションに引き上げたい」と展望する。
「冷凍 日清スパ王プレミアム」シリーズは全面リニューアル。イタリア産の乾麺パスタを使用していることを伝えるパッケージに刷新し、本格感と上質なおいしさを訴求した。消費者調査では実に95%が新パッケージを魅力的と回答。あわせて新商品「同マルゲリータ風」を追加し、人気フレーバー「同 牛挽肉のボロネーゼ」は肉の旨みがアップした。
一方、昨秋から店頭販売する「冷凍 完全メシ」を強化。既存の「ボロネーゼ」と「汁なし担々麺」は栄養とおいしさのバランスをアピールするパッケージに一新した。また新商品「ぶたいか玉お好み焼」を投入。すでにECサイトでは好評なメニューで、ふんわりとした生地が楽しめる。「完全メシ」の営業施策について、中村取締役は「様々なタッチポイントを通じてブランド認知度は約45%まで上昇。今後は冷凍食品売場でも販促を強化しトライアルを増やしていきたい」と話した。