水を注ぐだけで温かく 「ぽん鍋缶」 開発成果を発表 Mizkan×長田高校

Mizkanは17日、兵庫県立長田高等学校の学生や地元企業と共同で進めていた「ぽん鍋缶」プロジェクトの成果を発表した。「ぽん鍋缶」は、特殊資材に水を注ぐと発熱し、火がない場所でも温かい鍋が食べられる商品。発売60周年を迎えた「味ぽん」を使い、学生たちが考えたアイデアを具現化した。

このプロジェクトは、Mizkanが産学協同の一環として支援する、高校生のビジネスコンテスト「マイナビキャリア甲子園22年度大会」にて、「10~20代の若者の共感を得られる味ぽんブランドの新たな事業を創出せよ」というテーマを課し、長田高校2年生のチーム「ながったらー」が「ぽん鍋缶」にて視聴者賞を受賞。「ながったらー」の4人(鳥居彩人さん、西村順成さん、高場晴菜さん、轟千桜音さん)が、温かい鍋で勉強や部活などで忙しい学生が癒されて欲しい、非常時にほっとして欲しいとの想いで発案した「ぽん鍋缶」を形にすべく、製品開発をスタートさせた。

小又美智氏(左から2番目)らプロジェクトメンバー(Mizkan) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
小又美智氏(左から2番目)らプロジェクトメンバー(Mizkan)

昨年8月より同社と学生がコンセプトや製品仕様の設計、試作検討を繰り返して、スープに使う「味ぽん」の比率や、具材のサイズ・風味バランスなどを決定。兵庫県の缶詰加工受託会社アイナスの協力を経て、商品化に至った。「ぽん鍋缶」1箱には、肉だんごやしいたけ、白菜など7つの具材が入った1人前の缶詰と発熱資材、箸とレンゲ入り。箱はスマホスタンドに再利用できるなどアイデアが光った。

阪神・淡路大震災から29年目になる17日に、同校敷地内で行われた発表会では、冒頭にプロジェクト担当の小又美智氏が、「味ぽん60周年を迎え、新しい価値づくりに注力する」などと話し、同社の想いや取り組みについて説明した。その後「ながったらー」の4人がそれぞれ商品開発の狙いや過程、工夫したことを発表。「まわりにある物が、どれだけ苦労を重ねて自分の手元に届いたかを知る貴重な機会になった」などプロジェクトを通して学んだことを語った。