サンクゼール 新業態「MeKEL」を視る〈上〉 2温度帯の食倉庫 日常食中心に地方へ拡大

「久世福商店」や「サンクゼール」を約160店舗展開する製造小売業のサンクゼールは9月、長野市に「MeKEL(メケル)」1号店をオープンした。既存ブランドより低い価格設定で、日常の食をメーンに販売する新業態。地方在住の30~40歳代共働き世帯やシニア世帯、単身世帯をターゲット層に、地方郊外立地を中心にFC展開を計画する。将来的にはアジア圏への海外展開も視野に入れる。

国内に151店舗を展開する「久世福商店」では、数日から数か月かけて消費されるこだわり調味料や瓶詰惣菜など、ギフト向け食品をメーンに販売。地方都市の地域一番店のモールを中心に店舗を拡大してきた。

これに対し新たに打ち出した「MeKEL」は、品揃えの多くを調理が簡単な冷凍食品やアジアを中心にした輸入食品、また既存ブランドで培った500社以上のサプライヤー商品など「日常食」を中心に集めた倉庫型グルメマーケット。同社がこれまでカバーできていなかった、肉・魚・野菜などメーン食材やおかずを冷凍品として強化した。

バザールをイメージした内装 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
バザールをイメージした内装

平均単価は既存ブランドより低い400円。食品スーパーよりも高く、百貨店よりも安い価格設定だ。年間売上は「久世福商店」の2倍を見込む。郊外や地方のロードサイドなど生活圏を中心に出店し、24年以降はFC展開で店舗拡大を加速化する計画。認知度が上がればECサイトでの販売も検討する。

昨年9月にオープンした「長野若里店」は、JR長野駅から車で約10分のロードサイドに立地する。売場面積86坪、バックヤード120坪の平屋建て構造。敷地内にはフィットネスジムも隣接する。店内正面には、アジアのバザールをイメージした飾りつけを施してワクワク感を演出した。店内約1千500アイテムのうち、半分が冷凍食品、残りを常温食品の2温度帯に限定している。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
保冷庫に並ぶ冷凍食品

店内に20数台置く冷凍食品のショーケースには、保冷庫を採用することにより、冷凍庫を使用した時に比べて電気代を約8割カットし運営コストを抑えた。バックヤードの冷凍倉庫から凍った状態で陳列すれば、ショーケース内をマイナス18度以上に保つことができる。

オープンから3か月、現在アプリ会員の9割以上を車で30分圏内の住人が占める。想定以上に20~30代の若い世代の来店が多く、平均50代の「久世福商店」と異なり新たな客層を掴んでいる。

12月2、3、9、10日には、同店初のガレージセールを開催。事前に周辺地域にチラシを入れて告知を行った。今後もイベントなどを通して認知向上と利用頻度を高め、店舗拡大のための試金石にする。

【店舗概要】
▽住所 長野市若里7丁目6-5
▽営業時間 10時~19時30分

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