1-6月豆乳(調製豆乳・無調整豆乳・豆乳飲料)市場は価格改定の影響で生産量が前年割れした22年のトレンドを引きずり売量販売量・販売金額ともに前年を下回った中、人流回復に伴うパーソナルニーズの高まりにより一部で小容量が拡大するなど明るい兆しもみられた。
トップシェアのキッコーマンソイフーズ(キッコーマン)も市場とほぼ同じ動きとなった。
荻生康成執行役員マーケティング本部企画開発部長は1-6月の販売動向について「これまで伸び続けていた『おいしい無調整豆乳』1Lが価格改定の影響で価格コンシャスなライトユーザーが離反して落ち込んだ一方、同200mlへの影響は軽微でトライアルを促せていると考えている。200mlは飲用が主要用途であるため飲用頻度の高い方の離脱もあまり起きていない」と語る。
これには、コロナ禍で失ったオフィスや外出シーンでの飲用機会の回復が後押ししたとみられる。
スジャータめいらくも、「生しぼり製法 調製豆乳」(330ml)と「豆腐もできます有機豆乳」の中の330mlサイズが伸長を続ける。
サブカテゴリーとしては無調整豆乳が善戦している。
キッコーマンの「おいしい無調整豆乳」も善戦し、新たな活性化の兆しとして、無調整豆乳そのものの味わいが栄養価値とともに受け入れられている可能性がみられた。
これまで業界では、豆乳の本流とされる無調整豆乳と調製豆乳の“白もの”に親しんでもらうべく、大豆臭を抑える取り組みや間口(飲用層)拡大策として豆乳飲料を展開してきたが、今後は大豆の風味もポジティブに受けとめられそうだ。
キッコーマンの荻生氏は「豆乳というとどうしても青臭いイメージを抱かれるが、今は逆。ソイラテの味わいが好まれているように、豆乳の味わいが“スッキリしていてコクがある”ものと支持され、豆乳を好ましいと思って下さっている方が増えている」との見方を示す。
余計なものが入っていない原材料のわかりやすさから「おいしい無調整豆乳」へのトライアルもみられるという。
「プレーンで混じり気のないおいしさが評価されて、新規ユーザーが豆乳飲料の飲用を経ずに最初に手に取られる。加えて、無調整豆乳は豆乳の中で一番大豆固形分が多く含まれるカテゴリーであることから栄養摂取という点でも新規ユーザーの獲得につながっている」と述べる。
そのほか、キッコーマンではトクホの「特濃調製豆乳」(200ml・1000ml)が好調を維持。好調要因は主に2つあり「健康を気にする方に選ばれているのと、濃くてまったりとした味わいが支持されている」と説明する。
今後、1つのサブカテゴリーに発展する可能性を秘めているのは砂糖不使用の豆乳・豆乳飲料だ。
キッコーマンは、今年3月に「砂糖不使用 調製豆乳」を発売。無調整豆乳と調製豆乳の中間のポジションとして期待を寄せる。
荻生氏は「無調整豆乳が非常にプレーンであるので、調製豆乳にシフトしたものの、調製豆乳からも離反してしまった方を丁寧に調べると“甘さがない無調整豆乳のような調製豆乳”を求める声が結構なボリュームであった」と手応えを語る。
5月には、「砂糖不使用 豆乳飲料 麦芽コーヒー」「同 紅茶」(ともに200ml)も新発売した。
マルサンアイも「豆乳飲料 麦芽コーヒー 砂糖不使用」が「甘くないため、毎日の食事にも合う」と好評。従来の200mlに加え1000mlを新たにラインアップに追加した。
マルサンアイの「カロリーオフ」シリーズが年々売上げを伸ばしているのも特筆すべき点。
9月1日には新商品「豆乳飲料 ココア カロリー50%オフ」(200ml)を発売、ラインアップを6種に増やして顧客獲得を進めている。
なお、豆乳協会によると2022年1~12月の豆乳類全体の生産量は、前年比98.2%の41万6329㎘にとどまった。
今年4~6月期における豆乳類全体の生産量も、前年同期比93.1%の9万9千501㎘と引き続き前年を下回った。