亀田製菓、お米の力で日本初の植物性100%のサラダチキン発売 「おいしさが大前提」で新製法導入しお肉のような繊維感を実現

世界での新価値・新市場創造に向けて製菓業から米業(こめぎょう)へ事業領域の拡大に取り組む亀田製菓とって、10月2日に新発売される日本初となる植物性100%のサラダチキン「植物生まれのグリーンチキン」シリーズは事業領域拡大の大きな足がかりとなりうる。

「グリーンチキン」は、2019年に亀田グループ入りしたマイセンファインフード(福井県鯖江市)が製造・販売するフローズン流通チルド販売商品。

開発には2年の歳月を要し、亀田製菓のお米の技術をベースにした新製法を導入して、植物性100%でありながらも、お肉のような繊維感を実現した。

製造にあたっては、約10億円を投じて新工場を建設し「グリーンチキン」専用ラインが現在稼働している。

味はペッパー味とハーブ味の2種類、形状はブロックタイプとバータイプの2種類の計4種類をラインアップする。

ブロックタイプの盛り付け例(植物生まれのグリーンチキン) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
ブロックタイプの盛り付け例(植物生まれのグリーンチキン)

ターゲットは40⁻50代を中心とした女性層。
 
バータイプ1本で、レタス約1個分の食物繊維・たまご約2個分のたんぱく質・豆乳約80ml分のイソフラボンが摂れる設計になっている。

ただ豊富な栄養素はウリの1つで「おいしさが大前提」と強調するのは、9月29日発表会に臨んだマイセンファインフードの村井龍昭社長。

一般的な大豆ミートは繊維が短いのに対して「グリーンチキン」は肉質感のある長い繊維構造となっており、これがおいしさのカギとなっている。

「(長い繊維構造は)乾燥卵白を使う簡単にできるが、そうすると植物性100%にはならず、卵はアレルゲンにも指定されている」と述べる。

当面はスーパー1000店舗への導入を目指し、売れ行きをみながら工場の稼働率を高めていく。

「2025年には当社のプラントベースフード(PBF)事業として10億円の出荷金額を目標にしている」と語る。

第2弾以降の商品投入も視野に入れる。

「“PBFはおいしくない”と悪貨が良貨を駆逐する状況になるとまずいと考えている。PBFに対して“おいしい”と思ってもらい、食べ続けられる状況を早期につくっていきたい」と意欲をのぞかせる。

9月29日、亀田製菓東京オフィスで発表会に臨んだ亀田製菓の髙木政紀社長COO(右)とマイセンファインフードの村井龍昭社長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
9月29日、亀田製菓東京オフィスで発表会に臨んだ亀田製菓の髙木政紀社長COO(右)とマイセンファインフードの村井龍昭社長

PBFもその一端を担う米業への事業領域の拡大について、亀田製菓の髙木政紀社長COOは「我々には66年培ったお米の加工技術力があり、その技術力を持って、おいしさ・健康・感動につながるのであれば領域をどんどん広げていきたい」と説明する。

グループ会社のマイセンファインフードについては「我々はこれまでどちらかというと嗜好品の領域を磨いてきたがマイセンファインフードは必需品の領域で広がっていける。大きく言うと人類の健康をサポートするくらいの会社になりうる可能性がある」と期待を寄せる。

亀田グループでは、米たんぱくを使ったPBFの研究にも着手している。

「米たんぱくでPBFが実現できると、本当の意味でのコア・コンピタンスになる。えんどう豆たんぱくでは商品化されているが、えんどう豆たんぱくや米たんぱくの良い点は完全にアレルゲンフリーになる点。米たんぱくの中に機能性を見つけることも研究テーマの1つになっている」(マイセンファインフード村井社長)という。