逆光線(コラム)苦渋の賃上げ

苦渋の賃上げ

「給料を上げられない会社は退場せざるを得なくなる」。このところ取材先のトップから共通して聞く言葉だ。深刻な人手不足の中で優秀な人材を確保するには、きちんと生活できるための対価が必要。もう“やりがい”だけで人は動かない。より厳しい経営環境にある中小企業からは、ある種の覚悟も伝わってくる。

▼先頃、厚生労働省の評議会が2023年度の最低賃金を全国平均で時給1千2円に引き上げる目安をまとめた。昨今の物価高への対応で、上げ幅は過去最大。生活の底上げが進むのは歓迎だが、なかなか改善が進まない業界も少なくない。

▼全国に約5万7千店を数えるコンビニは、その大半が個人事業主。しかしながら、時給はいつも地域の最低水準、加えて業務の煩雑さからなかなか人が集まらない。こんな状況が長年続いている。

▼コロナ禍の揺り戻しや値上げ効果などで本部業績は好調だが、その恩恵が最前線の1店1店まで届いているとは言い難い。近所の店のオーナーがレジに立つ時間が増えた。店頭の「急募」の貼り紙。上書きされた数字にみえるインク溜りは、覚悟に要した時間だろうか。

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