3月期決算大手食品メーカーの2023年度設備投資計画が出揃った。10社のうち8社が前期を上回る見通しで、合計は5千39億円(一部M&A含む)、前期実績比25.0%増となった。売上高(売上収益)に対する割合は平均5.4%(前期4.4%)に上昇。主力事業への成長投資を中心に、日清食品ホールディングスが2倍超、ニチレイが5割以上増、伊藤ハム米久ホールディングスと日清製粉グループ本社が約3割増などを計画する。
各社の今期計画をみると、味の素は「構造改革から成長へのシフトを実現するため、必要な設備投資を実施していく」との方針。部門別は調味料・食品で54億円増(前期比19%増)、ヘルスケア他で81億円増(同33%増)を予定。日本ハムはトータルで微増。新球場建設の大型投資(前期=球団206億円)は完了したものの、食肉事業で52%増の292億円、海外事業で160%増の104億円としている。明治ホールディングスは海外を中心に投資。「2023中期経営計画」の当初予定から食品セグメントで工期の遅延や見直しによる差額が出ている。
マルハニチロは、前期倍増の反動があるも若干減と高水準。北米のトランスオーシャン・プロダクツ社で建屋増設やカニカマ設備の増強を進め、国内はマルハニチロ物流への投資でさらなる効率化や省エネ機器の導入などを行う。伊藤ハム米久ホールディングスは約3割増。このほど冷凍食品の製造拠点としてグループの夢工場(静岡県)が稼働。引き続き既存工場の建て替えなど生産体制を再編する。
日清製粉グループ本社も約3割増やす。国内製粉は国際競争力の強化を念頭に水島新工場(25年5月稼働)の建設に着手するほか、米国製粉は市場拡大を視野にロサンゼルス工場とサギノー工場の生産能力を増強する。ニッスイは490億円(M&A含む)を計画。欧州におけるチルド白身魚商品などの拡販に伴う増産や、南米養殖で高付加価値品の増産を目的としたライン投資などを行う。ニチレイは、主力事業への成長投資や環境対応投資などを継続。主にはキューレイの冷凍米飯新工場(23年4月稼働)、低温物流の神戸六甲DC新設(24年1月稼働)など。
日清食品ホールディングスは、前期比2倍以上の700億円を計画。国内では日清食品新関東工場の用地取得、日清ヨークのピルクルブランド増産対応、海外では需要拡大を背景に米国日清で第3工場(25年目途に建設予定)の用地取得などを予定。キッコーマンは443億円に増やす。国内は生産性向上など、海外はしょうゆ増産と卸拠点の整備・拡張などを図る。