気候変動の影響がお茶や海苔にも表れ始めた。一番茶が終了した静岡茶市場の取扱実績は数量で1割以上のマイナス、掛川は3割減となった。早場所では桜が散る前に茶の摘採が始まるなど、気温が高く天候がよすぎたことが収量減につながっている。
▼頂芽(先端の芽)が伸びすぎた。普通なら側芽(葉の部分)が日光を浴びようと大きく成長するが、今年は頂芽に栄養が集中し品質は良かったものの、収量増には欠かせない側芽の成長が不十分だった。
▼昨年9月に発生した台風9号は中山間地の茶畑を襲い、そのまま放棄された茶畑が多かったことも収量減の一因だとする市場関係者もいる。平地でも台風9号による竜巻の直撃を受け、屋根が吹き飛ばされた茶工場があった。温暖な牧之原大地では考えられなかったことだ。
▼5月に終了した22年度海苔漁期は25%減となった。3年続いた海水温の上昇が4年目に一大産地の有明海を直撃し、半作となったことが影響している。最近になって、気候変動にエルニーニョが加わった。和食文化を代表するお茶と海苔の将来が不安になる。