クラフトビールを新たな成長エンジンと位置付け市場を牽引するキリンビールでは、全国13のブルワリーが集結した体験型イベント「HELLO CRAFT BEER WORLD」を6月2~4日にかけて開催した。
期間中「スプリングバレーブルワリー 東京」(代官山)では「クラフトビールによる新しい夏のビール体験」をコンセプトに、夏仕様のメニューを展開。夏限定商品「SPRING VALLEY サマークラフトエール〈香〉」をはじめ、期間限定のペアリングメニューも登場した。また、キリンが展開するクラフトビールの小型ディスペンサー「タップ・マルシェ」に参加するブルワリー13社の製品が飲み比べできるテイスティングセットも提供された。
1日に行われたオープニングセレモニーで、キリンビールの堀口英樹社長は「ビール市場は将来的に大きな成長が期待できないなかでも、クラフトビールへの関心は若者を中心に高まっている。私たちが思い描くのは、日常的にクラフトを楽しめる世界。家庭の食卓、飲食店などで当たり前に多様なクラフトビールが選択できる世界になればいいと思う」と表明した。
ここ数年、注目度がますます高まるクラフトビール。90年代半ばの地ビールブーム当時にも全国各地で様々な製品が発売されたものの、品質が玉石混交だったことや個性的な味わいを敬遠する消費者もまだ多かったことから、一過性のブームに終わった。だが、この間に品質を磨き続けた業界の努力が実り話題が再燃。今年5月時点の国内ブルワリー数は685社と過去最多に達している。他方でクラフトビールの飲用者数はいまだ少ないのが現状だ。
「伸長のポテンシャルは大きい一方、一社単独の活動では難しい。志を同じくするブルワリーとともにカテゴリー定着を目指したい」(堀口氏)。
「よなよなエール」などを展開するヤッホーブルーイングの井手直行社長も「クラフトってすごく楽しいし、業界はみんなライバルではなく仲間。でも小規模な会社が多く、ビジネスのつながりはまだ弱い。キリンとの取り組みでビール業界に革命を起こしたい。このイベントは単発で終わらせず、数年後にはすべての都道府県でやりたいと勝手に思っている。頼みますよキリンさん!」と期待を語った。