一番茶終了 静岡は大幅減産も平均単価をなんとか維持

静岡・鹿児島の一番茶取引がほぼ終了した。暖冬の影響で生産開始が早く、桜が散る前に摘採した圃場もあった。静岡は日照が良すぎて側芽が伸びず14%減と大幅な減量となったが、品質が良かったため平均単価は3%増と昨年を上回った。鹿児島は量で2%減とほぼ前年を維持したが、平均単価は7%減と厳しかった。

静岡では今年、降水量は少なかったものの1~3月の気温が平年よりも高く、4月に入ってからも高い日が続いたため昨年よりも早く生産が始まった。4月中旬には朝晩の冷え込みで芽伸びが緩やかになり反収が伸びず、一部の圃場では霜の被害もあった。

日照量が多かったため、日光を受けようとする側芽の働きが妨げられて芽伸びが悪く、頂芽ばかりが成長した。その結果、頂芽に栄養が集中して品質は良いものの芽数が少なく、生産量は減少した。繰越在庫が多かったことに加え、物価上昇や需要低迷の影響で贈答用高価格帯の動きも鈍く、先行き不透明感もあって慎重な取引となった。

静岡茶市場では、県内生産の一番茶取扱量は前年比86%と大幅に減少したが、平均単価は3%増。仮に平年並みの量が採れていたら大暴落も考えられ、自然が生産調整を行ったという茶商の感想もあった。

掛川市場では生産量が72%、平均単価は前年を上回ったため取引金額は81%と量ほどの下げとはならなかった。また、大手茶商の契約農家ではミル芽で摘採し茶価が下落に転ずる前に全量を売り切ったため、生産量は約2割減だが売上減を5%以内に抑えられたところもあるなど、摘採のタイミングによる生産者の手取りの差も見られた。

鹿児島も静岡と同じく例年より少し早い生産開始。4月9日早朝に気温が0℃近くまで下がったため、一部の圃場が凍霜害を受け、最終的な生産量は前年比98%となったが、特上クラスや上級クラス製品への評価が例年以上に厳しく、平均単価は92%と落ち込んだ。番茶については、昨年に引き続きドリンク原料としての引きが弱いこともあり500円前後での取引だったが、終盤に向かい350円前後が中心となり軟調相場となった。