5 C
Tokyo
1.9 C
Osaka
2025 / 12 / 19 金曜日
ログイン
English
トップニュースチルド麺 2年連続“値上げの春” 早期の販促強化がカギ

チルド麺 2年連続“値上げの春” 早期の販促強化がカギ

2023年の家庭用チルド麺市場は、2年連続で“値上げの春”となっているが、新価格での販促を早期に本格展開できるかが需要活性化のカギになりそうだ。「昨春は様子見で特売が入らず数量ベースの減少が長引いた」(上位メーカー)との反省があり、NB各社はスムーズなシーズンインに向け流通サイドへの働きかけを強めている。

業界推計によると、22年度(4~3月)の家庭用チルド麺市場は、金額ベースでほぼ前年並みの見込み。ただし、価格改定の影響を差し引いた数量ベースの実績は約6%減にダウンする。マイナス要因は、内食化傾向の落ち着きに加え、値上げ後の需要停滞だ。特に同年4~6月は食数ベースで1割近く落ち込んだと見られる。新価格が浸透した秋以降は販促も正常化、10~12月は数量ベースで前年水準に回復し、金額ベースで5~6%上乗せした。直近の1~2月は前年特需(=まん延防止等重点措置)の反動があり伸び悩み。

23年春、上位メーカーでは2月にシマダヤ、名城食品、3月に日清食品チルド、菊水、4月に東洋水産が価格改定を行う。3月中旬から下旬の棚替え以降、売場では新値に順次切り替わっていく見通し。

今後の焦点は、値上げ後の新価格で販促を早期に展開できるかであろう。関東におけるNBの特売価格は、代表的な「3食焼そば」で168~198円、「3玉うどん」で138~158円など、従来に比べ20円程度上昇する可能性が高い。「2食ラーメン」「2食焼そば」のレギュラー商品で見ると、値上げ前の188~198円から200円を超えてくることが予想される。

業界内では「物価高で節約志向が高まる環境下、主食としてチルド麺のコストパフォーマンスはまだまだ強みになる」との声がある一方、「新しい値ごろ感を作っていく必要がある」「PBなど低価格品へのシフトが一段と加速する」との見方も多い。いずれにせよ、年間の総需要を占う上で、価格改定が大きなポイントになることは間違いない。「今後人流が回復しても内食化率は高止まり傾向。前半戦をうまく乗り越えられれば通期の好業績も期待できる」(3月期の上位メーカー)との流れに持ち込みたいところだ。

有力メーカーは新価格のスムーズな浸透をバックアップするため、例年以上に積極的な施策に動く。

東洋水産は「マルちゃん焼そば 3人前」で昭和・平成・令和の各時代に人気を博した3フレーバーを一斉に復刻発売し、売場を大々的に盛り上げる。シマダヤは「太鼓判」「鉄板麺」を対象にギフトカードが当たる消費者キャンペーンを展開する。

関連記事

インタビュー特集

キンレイ「鍋焼うどん」、さらにおいしく進化 自社工場でかつお節を削り出した理由とは 50年のこだわり脈々と

キンレイの冷凍具付き麺「お水がいらない」シリーズが販売好調だ。2010年に立ち上げ、昨24年までに累計2億食以上を販売している。

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。