アサヒ飲料が「カルピス」ブランド100周年を記念して2019年に開設した「カルピス みらいのミュージアム」(アサヒ飲料群馬工場内)が、行楽シーズンに向け本格的な来館受け入れを開始した。コロナ禍では一時休業し、以降、群馬県限定で再開し、昨年6月からは県外受け入れも開始。1日3回、1回につき定員20人に限定しながら、小学生やファミリー、団体等の来館を促している。
カルピスの生みの親、三島海雲が人々が元気になってほしいという想いをカルピスに受け継ぎ、おいしさを生み出す技術と想いが未来まで続いてほしいという願いを込めて、「みらいのミュージアム」と命名。館内は子どもから大人まで誰もが楽しめるよう随所に工夫が施されている。
エントランスではミュージアムの顔であるカルピスの真っ白な高さ4mのピースボトルの巨大オブジェが出迎える。「今後の100年、カルピスがどう変わっていくかを想像してもらい、自分なりの未来を考えてほしいと真っ白なオブジェに仕上げた」(案内役の山崎千晴さん)。これには7万杯分のカルピスが入る。
見学は「カルピスを巡る旅」としてアニメーション仕立てで解説。大阪府のお寺に生まれた三島海雲が、内モンゴルで遊牧民の飲み物である酸乳と出合い、それをヒントに日本初の乳酸菌飲料「カルピス」を開発し、脱脂乳を乳酸菌で発酵させた甘酸っぱくておいしい飲み物のカルピスが誕生したことを分かりやすく紹介している。
「カルピス100年の軌跡」では、健康的で美しいものの象徴だったミロのビーナスが描かれた初代パッケージから始まり、現在までの容器の変遷を展示。七夕に発売されたことを記念し、天の川をイメージして水玉模様になったことや、海雲の後輩が提案した「甘くて酸っぱいカルピスを初恋の味で売り出しては」に応え、キャッチフレーズの「初恋の味」が決まった経緯などを紹介している。
「カルピスができるまで」では、生乳、脂肪分除去、カルピス菌を加える、一次発酵、二次発酵、ボトリング、ラベリング、品質検査、箱詰め、出荷までの工程を、壁にプロジェクションマッピングで放映し、音を交えながら紹介。ここは子どもたちが最も喜ぶ場面だと言う。
「発酵のへや」では、カルピスのおいしさは乳酸菌と酵母が活動する発酵に秘密があるとし、タンク内の2度の発酵の様子をモニターを使ってアップで映し出し、芳醇な香りを体験できるよう穴も用意されている。
PETボトル飲料の製造ラインは、2020年4月に新設された群馬工場の最も新しいライン。きれいな環境できれいなボトルに充填するためアセプティック充填が行われ、新型機の導入や工程の自動化による省人化、省エネ化を図っている。工場内ではPETのプリフォームをブロー成型機でPETに成型しており、PETを自社製造することで省エネ化を図っている。充填機は1分間に最大900本の速さで充填が可能で、原料から出荷まで全工程の品質保証体制を整えている。
最後にカルピスの味わいを楽しむ試飲室(カルピスラボ)では、再利用できるプラスチックのコップにポーション入りのカルピスを線まで注ぎ、水や炭酸を加えて試飲できる。5倍希釈のポーションカルピスと水が1対4の比率がお薦めだとし、好みの濃さに調整できることもカルピスの良さだと言う。
見学ツアー(無料)は電話かインターネットによる完全予約制で、毎日10時、13時、15時の1日3回実施、1回につき20人限定。3月の土・日曜は約10分で満杯になるほどの人気だと言う。