外食売上高 昨年はコロナ前の94%に 飲酒業態は5割減、依然厳しく

日本フードサービス協会(JF)がまとめた令和4年(22年)1-12月の外食売上高(全店ベース)は前年比113.3%で、3年ぶりのプラスとなった。年後半にかけて回復が進んだものの、コロナ前の19年比では94.2%にとどまり、特に飲酒業態は5割減と厳しい状況が浮き彫りとなった。なお、調査はJF会員社を対象とした月次外食産業市場動向調査(全店ベース)の結果を集計したもの。総店舗数は前年比99.1%、19年比93.7%。客数は前年比106.2%、客単価106.7%。客単価は94年の調査開始以来、過去最高の伸びとなった。

〈全体概況〉

コロナ禍3年目となった22年の外食産業は、3月にまん延防止等重点措置による営業制限が解除され、価格改定による客単価上昇もあり、全体売上は前年比113.3%となった。しかし、営業制限解除後も夜間の外食需要と企業などの大口宴会需要はなかなか戻らない状況が続き、19年比では売上94.2%となった。業態間に明らかな差が見られ、FF(特に洋風FF)以外はコロナ前の売上を回復しておらず、特に21年に酒類の提供制限で大きな影響を受けた「パブ/居酒屋」は19年比では売上49.2%にとどまった。さらにロシアのウクライナ侵攻や日銀の金融緩和政策に起因する原材料費やエネルギーコストなどの高騰、人手不足による売上機会のロスなどが、回復途上の外食産業の経営を圧迫している。

業態別では、ファミリーレストラン(前年比118.1%/19年比83.8%)、ディナーレストラン(131.7%/76.6%)、喫茶(116.8%/80%)、パブ/居酒屋(180.9%/49.2%)などの店内飲食業態は回復基調にあるものの、コロナ前には戻っていない。ファーストフード(107.9%/108.6%)は引き続き、「洋風」を中心にテイクアウト・デリバリーの下支えに加え、注文方法の多様化などによる顧客利便性の向上もあり、好調を維持している。

〈四半期動向〉

▽売上は3月にまん延防止等重点措置による営業制限が解除されたこともあり、すべての業態・四半期で前年を上回った。四半期別(前年比)では1-3月107.7%、4-6月117.9%、7-9月117.3%、10-12月110.6%。
▽店舗数は全体的に微減傾向。なかでも、パブ/居酒屋は店舗数(前年比94.7%/19年比75.8%)で、コロナ3年目になっても他業態より年間を通して減少幅が大きい。
▽客数は3月にまん延防止等重点措置が解除され、すべての業態・四半期で前年を上回った。なかでも「パブ/居酒屋」は、前年が酒類制限で満足に営業できなかったため、4-6月(237.8%)、7-9月(278.5%)と大幅な伸びを示した
▽客単価は原材料費などの高騰を背景とした価格改定で、すべての業態・四半期で前年を上回った。

外食2022 1-12月データ - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)