キーコーヒーは今年発売45周年を迎えたスペシャルティコーヒー「トアルコ トラジャ」を年間通じて真のサステナブルコーヒーとしてアピールしていく。
トラジャコーヒーは、インドネシア・スラウェシ島トラジャ地方だけで栽培されるアラビカ種のコーヒー。かつて「セレベス(スラウェシ)の名品」と謳われ、第二次世界大戦の混乱の中、市場から姿を消したことから「幻のコーヒー」とも呼ばれている。
キーコーヒーは、トラジャコーヒーを復活・発展させるべくトラジャ事業を展開。1970年代から山奥の未開の地に道路を敷設するなどインフラの整備や雇用を創出するなどして関わり、インドネシア現地の協力生産農家とともにトラジャコーヒーを作り続け、現在では「トアルコ トラジャ」として展開している。
SDGsの取り組みとしてサステナブルコーヒーや認証コーヒーに注目が集まる中、「トアルコ トラジャ」はキーコーヒーがインフラ整備の段階から地元民とともに汗を流し、現在もキーコーヒーの現地法人トアルコ・ジャヤ社に社員を派遣するなどして産地と地元に密着しているという点で、真のサステナブルコーヒーと言える。
今年は、SDGsを切り口にこの点を強調して「トアルコ トラジャ」を訴求強化していく。
その第一弾として、1月27日から2月5日の期間、東京ドーム(東京都文京区)で開催される「テーブルウェア・フェスティバル2023 ~暮らしを彩る器展~」で「トアルコ トラジャ 45周年記念カフェ」を出展している。
オープン初日、取材に応じた菊地恵一マーケティング本部市場戦略部長は「『KEYCOFFEE』の認知率は8割を超えるが『トアルコ トラジャ』の認知率はそれに及ばず、『トアルコ トラジャ』の認知率を上げていくのが第一の目標」と語る。
45周年記念カフェでは、トラジャ地方の自然豊かな環境や、唯一無二の味わいを支える品質へのこだわりなどをパネルで紹介。
3本の動画も放映し、そのコンセプトについてマーケティング本部市場戦略部市場戦略チームの五十嵐香菜子氏は「SDGsには5つのPのキーワードがあり、そのうちのPeople(人)・Prosperity(豊かさ)・Partnership(パートナーシップ)3つに着目した動画になっている。我々の活動を現地の住民の方に語っていただくインタビュー形式の動画に仕立てられている」と説明する。
トアルコ・ジャヤ社が経営するパダマラン農園では、収穫されたコーヒーチェリーは脱肉・発酵・水洗・乾燥・機械選別を経て最後は人の目による手選別工程へと回される。
第1話は「美味しいコーヒーは厳しい環境でこそ育まれる」と題し、手選別場の従業員にフォーカス。
第2話では、地域の豊かさに着目して、生産者の目線でコーヒー事業の維持・発展のために45年間継続している取り組みを紹介し、第3話では、地域の枠を越え、産学連携でコーヒーの未来を守っていく国際的な取り組みを伝える内容となっている。
これらの動画は今後SNSでも広めていき、SDGsへの関心が比較的高いとされる若年層をコミュニケーションターゲットに定める。
キーコーヒーのコミュニティサイト「Coffee Fan Club」も活用。現在約3万7000人に上る登録者に向けて、昨年末に開設した「トアルコ トラジャ ルーム」で「トラジャアンバサダー」を目指す活動への参加を呼びかける。
「トラジャアンバサダー」とは、10月1日の「国際コーヒーの日」に向けて「トアルコ トラジャ」の魅力を世に広めていく伝道師で、8月頃に認定テストを予定している。
「トラジャアンバサダー」に選ばれると、「トアルコ トラジャ」が1年分プレゼントされるほかイベントやセミナーにも招待される。
家庭用商品や業務用商品でもアピールしていく。
家庭用では、店頭での動画放映やサステナブルコーヒーコーナの提案を検討。
業務用の取り組みの1つとしては、約120店舗ある「トアルコ トラジャマイスター認定店」に向けて「トアルコ トラジャ」に特化した企画や初収穫した「トアルコ トラジャ」を認定店限定で提案するといった活動に注力していく。
なお同社は1000人を対象に 2021年12月から2022年1月かけて調査を実施したところ 「KEYCOFFEE」の認知率は8割を超えた一方、「トアルコ トラジャ」認知率はそれに及ばないことが判明した。