【PR】NTT西日本 ICTソリューション「Smart10x」スペシャル対談
食品廃棄物を循環させ、未来につながる資源に
NTT西日本は、「まち・ひと・くらし、ビジネスをもっとスマートに」をコンセプトに10の分野で地域やビジネスの課題をDX(デジタルトランスフォーメーション)による解決をめざすICTソリューション「Smart10x」を展開している。今回はスマートフード/アグリ分野から、食品廃棄物のリサイクルと地域での食品資源循環について野菜流通カット協議会の藤村博志理事と西日本電信電話株式会社 バリューデザイン部 スマート10x事業統括部 鳥嶋 祐嗣氏にお話を伺った。
食品廃棄物を発酵・分解 循環して新たな資源に
藤村/食品ロスの削減、というフレーズをよく見聞きすると思いますが、食品ロスとはまだ食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。食品加工の段階で出る肉や魚の骨など、もともと食べられない部分と食品ロス、その両方を合わせて食品廃棄物と呼びます。農林水産省のデータによりますと、2020年度の食品ロスと呼ばれる可食部の食品廃棄物などの発生量は275万トン、事業系食品廃棄物の総発生量は1,624万トンにもなります。食品ロスはもちろんのこと、それらを総称する食品廃棄物のリサイクルは大きな社会課題となっています。
鳥嶋/過去にも食品廃棄物を生ごみ処理装置で堆肥化し、リサイクルするという事業者がありましたが、なかなか廃棄物が圧縮されない、臭いがきつい、堆肥化しても使い道がないなど、生ごみ処理装置を継続していくのにさまざまな課題があったと聞いています。堆肥化せずに食品廃棄物のまま廃棄するとしても、莫大なコストがかかり続けるだけでなく、廃棄のために多量のエネルギーを排出してしまいます。それは企業の社会的イメージの低下にもつながりかねません。
藤村/私が理事を務めている野菜流通カット協議会は、加工・業務用野菜等青果物の生産、流通、加工等に関する農業界、流通業界、産業界から、さまざまな会員企業などによって構成されています。加工・業務用野菜等に関わる業界が健全に発展していくためには、食品廃棄物のリサイクル問題は避けて通れません。より良いリサイクル方法の検討は、私たち協議会でも取り組むべきだと考えておりました。
鳥嶋/そのような食品廃棄物関連のご要望にお応えする手段として、2019年に開始したのが地域食品資源循環ソリューションです。食品残渣発酵分解装置と堆肥化促進材を用いて、これまで廃棄されるはずだった食品廃棄物を堆肥化し、農作物の生産者のもとに届け、その堆肥で養われた土壌で育った農作物を市場などに流通させます。廃棄物とコストの両方を削減できる、地域経済の活性化をめざした循環型ソリューションです。
藤村/すでに、この地域食品資源循環ソリューションを利用している会員企業もあると聞いています。幅広いネットワークと深い知恵が必要となる食品廃棄物の課題に対し、NTT西日本グループの皆さまの取り組みに、大きな期待を抱いています。
鳥嶋/昨今の堆肥の価格高騰、環境保全への関心の高まり、自給自足を促進しようという動きもあり、多方面から地域食品資源循環ソリューションに注目をいただいております。現在は、全国各地の食品関連企業、カット野菜製造工場、飲食店、学校給食の現場などで、約850台が稼働しています。
約24時間で残渣量が1/10に コストメリットも絶大
鳥嶋/数年前にも堆肥化ブームがありましたよね。私たちがお話を伺った食品関連事業者の方々の多くは、先ほど挙げた課題に困り、挫折した苦い経験をお持ちでした。地域食品資源循環ソリューションは、発酵分解力の高い微生物を用いて、約24時間発酵させることで、1トンの食品残渣が10分の1ほどになります。臭いもほとんど発生しないので、ご担当の方が嫌な思いをすることはありません。廃棄にかかるコスト削減のメリットを大いに感じていただけると思います。
藤村/循環型社会をめざそうとしても、コストが高額すぎると持続できなくなってしまいます。具体的にどんな行動を起こせば良いのか、環境保全とコストの間で揺れ動く企業も多いと感じます。廃棄物をゴミではなく資源として捉えることが、非常に重要です。
信頼とネットワークで 未来の農業を支える
藤村/良い堆肥を作ることができたとしても、それを使ってくれる農家が見つからなければ意味がありませんし、常に安定的に供給できなければ農家からは信用されません。装置を提供するだけでなく、堆肥化後の循環システムがあるということは、ソリューションを導入する側としては心強い特徴だと思います。
鳥嶋/2021年6⽉から滋賀県⻑浜市の農場をフィールドとした循環型農作物の栽培から販売に⾄るまで⼀連の実証を⾏いました。本実証においては、琵琶湖に大量繁茂し地域課題となっている水草や、農業の中で発生するもみ殻、米ぬかなどの地域資源を堆肥化し、生成した堆肥によってこれまでと同等の農作物の栽培が可能かを調査しました。また、収穫した農作物は、道の駅において「循環型農作物」として新しい価値をつけ、従来より1~2割程度高い価格設定で販売しましたが、多くの方に購入していただき、消費者の地域循環型農作物への関⼼の⾼さも確認することができました。
藤村/各地域で扱いに苦慮する有機物を資源化するという取り組みには、地域内外の連携が不可欠です。こうした地域連携を円滑に行うためには、全体のコーディネートや関係プレイヤーとの調整も重要です。NTT西日本グループが培ってこられた信頼とネットワークをいかし、地域内外の連携を強めていただきたいです。
鳥嶋/労働人口の減少、農家の高齢化、農作放棄地など、農業に関わるさまざまな課題にNTT西日本グループの技術を役立て、地域の方々とともに持続可能な農業をめざしたいと考えています。これまでの農業は、経験と知恵でより良い作物を育てるスペシャリストがお手本でした。もちろん、熟練の方の仕事ぶりを見て学ぶことは大事ですが、新規就農者の中には、そのような機会がない方もおられるかもしれません。地域で共有できるデータを活用し、さまざまなリスクを回避しながら、日本の農業を持続する環境づくりが必要だと感じています。近い将来、新規就農者を呼び込み、農作物を育て、地域活性の循環を作る取り組みにも、尽力したいと考えています。
■お問い合わせ
NTT西日本公式サイト内【Smart Food】
https://www.ntt-west.co.jp/business/smart10x /food/
NTT西日本公式サイト内【Smart Agris】
https://www.ntt-west.co.jp/business/smart10x/agris/
※本記事は、NTT西日本およびNTT西日本グループにより、バリューチェーン全体を最適化するICTソリューションを提供し、食品廃棄物などの社会課題の解決に貢献した事例です。