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飲料嗜好飲料「日東紅茶」が最近おもしろいと言われるワケ その一因はティーテイスターのチャレンジにあり

「日東紅茶」が最近おもしろいと言われるワケ その一因はティーテイスターのチャレンジにあり

 三井農林はデマンドプルの発想でティーテイスターに創造の場を設け紅茶市場の活性化に取り組んでいる。

 藤枝工場(静岡県藤枝市)には現在、11人のティーテイスターが在籍している。海外から送られてくる茶葉のサンプルを1日平均100種類程度テイスティング(試飲)しており、安定した紅茶の味づくりのために行う“処方“が主な業務の一つである。

 その一方で、2021年春にグランドオープンした体験型ECサイト「nittoh.1909(ニットウイチキューゼロキュー)」を舞台に新たな需要を掘り起こすべく従来の延長線上ではない新たな試みもなされている。

 この新たな取り組みを牽引しているのがティーテイスターである秋林健一さんで、これまでに国内外のコンテストに積極的に出品して12の賞を受賞。

 22年は「プレミアムティコンテスト2022」に紅茶を出品して5つ星(最高賞)を受賞し、同じ紅茶を「“Teas of the World” International Contest AVPA2022」にも出品してBronze(銅賞)を受賞した。

 加えて22年は「日本茶AWARD」の烏龍茶部門にエントリーして審査員奨励賞を受賞。「Great Taste Award」では「Botanytea(ボタニティー)‐徳島県産ゆず」を出品し 1つ星を受賞した。

左からR&D本部応用開発部茶葉開発室室長兼経営企画本部プロモーション室の秋林健一氏、企画本部企画開発・ソリューション部ECプランニング室室長の中村康太氏
左からR&D本部応用開発部茶葉開発室室長兼経営企画本部プロモーション室の秋林健一氏、企画本部企画開発・ソリューション部ECプランニング室室長の中村康太氏

 取材に応じた秋林さんは受賞効果について「私の活動だけではないが日本の紅茶業界で“三井農林や日東紅茶は最近おもしろいことをやっているね”という話をよく聞く。『nittoh.1909』で販売しているコールドブリュー商品やスーパーなどで販売している『日東紅茶ミルクとけだすティーバッグ』のインパクトもあり紅茶業界における当社への視点が変わってきている」と語る。

 2つの賞を受賞した紅茶は「スクエアスリー」と命名し、1927年に日本で初めて製品化された国産ブランド紅茶「三井紅茶」と、1960年代に同社が注力した国産品種紅茶産業化施策へ敬意を払った。

 「『スクエアスリー』は三井の屋号のマークをイメージし、先人たちの意識を引き継いで国産紅茶がつくれないかという思いで命名した」という。

 秋林さんは12年に品質管理から茶葉の調達担当へと異動となりティーテイスターとして勉強を始める。ここで烏龍茶と出会ったことが、秋林さんのお茶への興味の起点となる。

 「お茶の勉強の初歩としてピンからキリまで飲んで相場観を養い、ここで烏龍茶に魅力を感じた。烏龍茶は武夷岩茶(ぶいがんちゃ)や東方美人(とうほうびじん)など品種と製法が覚えきれないほどある」と振り返る。

 三井農林には勉強のための代表的な茶葉を取り揃えているが烏龍茶は多くなかったため、秋林さんは独学する。

 「中国茶の審査は基本的に外観・香味・水色(すいしょく)・抽出した後のお茶の状態の4つを審査する。中国には品質に関する評茶(ひょうちゃ)と淹れ方に関する芸茶(げいちゃ)の2つのライセンスがあり、私は数日間の集中講義を経て評茶の資格を取得した」。

 こうして烏龍茶・中国茶を学ぶ中、当時、中国食材にはネガティブなイメージがあり、ここに商機を見出す。
 「日本市場と私の情熱にギャップが生じ、国産茶葉で烏龍茶をつくれば、まだその市場性があるのではないかと考え16年からお茶をつくりはじめた」とし18年には「日本茶AWARD」に烏龍茶を出品してプラチナ賞を受賞する。

 「日本茶AWARD」は22年を含め2度目の受賞、三井農林としては7度目の受賞となる。
 「国内の審査会で出品数が最多なのは『全国茶品評会出品茶審査会』で審査対象は緑茶(煎茶・深蒸し茶・碾茶など)のみ。『日本茶AWARD』はそれに次ぐ規模感だが、審査対象が緑茶だけでなく烏龍茶、紅茶、ブレンド茶など茶全般であり、お茶の専門家の審査後に一般の方も審査しているのが特徴」と説明する。

「Botanytea‐徳島県産ゆず」は現在、三井農林が運営するプレミアムティーショップ「nittoh.1909」で発売している。
「Botanytea‐徳島県産ゆず」は現在、三井農林が運営するプレミアムティーショップ「nittoh.1909」で発売している。

 「プレミアムティコンテスト」は国産紅茶専門の審査会だったが今年からほうじ茶も審査対象に加える。

 全世界のお茶を審査対象にしているのは「Teas of the World」で「『日本茶AWARD』と同じく一般の方が審査員に加わり、お茶に限らずコーヒーやチョコなど幅広い食を審査対象としているのが特徴」。

 イギリスの高級食品小売組合「The Guild of Fine Food」が主催する世界最大規模かつ歴史の長い食品の国際コンテストが「Great Taste Award」で、22年12月17日には同コンテストで 1つ星を受賞した「Botanytea‐徳島県産ゆず」のオンラインイベントを開催し、好評を得た。

 「Botanytea‐徳島県産ゆず」は、「Great Taste Award2021」で3つ星を受賞した「Botanytea‐小豆島産ベルガモット-」に次ぐ「Botanytea」シリーズ第二弾で、特許出願中のフレッシュアロマ製法で生の果皮の香りを保持できる乾燥を行い、製造工程中に損なわれやすいゆずのフレッシュな香りを茶葉に定着させたもので、現在、三井農林が運営するプレミアムティーショップ「nittoh.1909」で発売している。

「Botanytea‐小豆島産ベルガモット-」
「Botanytea‐小豆島産ベルガモット-」

 「乾燥方法を確立できたため、これを使って目新しい商品を生み出すべく国産で特徴的な柑橘を考え、ゆずに辿り着いた。香りはやさしく控えめだが世界に通用できるのではないかと考えた。最近のお茶の傾向としては、素材が多様化して香りのバリエーションが物凄く増えている」と語る。

 ゆずの選定にあたっては消費者の声を反映させた。

 「nittoh.1909」などECを担当する中村康太氏は「Botanyteaシリーズは自然由来の香りがポイントで、他の果物や花で香りづけした試作品をお客様に試飲していただくというテストを経てゆずを採用した。『小豆島産ベルガモット』は堅調に売れてファンがつき始めており『Botanytea』が広がり始めているという実感がある」と述べる。

 今後の目標について秋林氏は「『三井紅茶』を生み出した先人をリスペクトしており、私のつくったお茶も『三井紅茶』が私に与えたような影響を後輩に与えられるようにこれからも商品を生み出していきたい」と意欲をのぞかせる。

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