桃屋の2022年度(22年9月期)決算は、売上高が前年比0.4%増、営業利益が同1%増、経常利益が同5%増となった。「企業理念の良品質主義と広告宣伝主義の徹底を図った」(小出雄二社長)ことが奏功し、営業利益ベースで9期連続、経常利益ベースで8期連続の増収増益を達成した。23年度は引き続き企業理念の徹底に取り組み、10期連続の増収営業増益を目指す。22日の近況報告会で明らかにした。
売上高は、新型コロナウイルス感染拡大による家庭内食増加の影響で20年度、21年度と大きく伸長。22年度は前年のベースが高かったが、「かんたんレシピ」を訴求するコミュニケーションを強化し、増収につなげた。
品群別売上高は、海苔佃煮が2.0%減、中華瓶詰が7.3%減、キムチ調味料が4.2%減にとどまった半面、食べる調味料が6.9%増と伸長。「ラー油」が3品計で3.0%増となったほか、「きざみしょうが」が4.6%増、「きざみにんにく」が11.5%増と好調だった。
利益面では、原材料価格高騰などのコスト上昇に直面したものの、付加価値の高い食べる調味料を伸ばすことで製品ミックスを付加価値型に改善し、増益につなげた。食べる調味料は売上高、利益の両面で業績の向上に貢献した。
小出社長は良品質主義に言及。原料調達について「今まで以上に苦労しなければならない状況」としたうえで「原料品質に妥協せずに何とか調達している」と報告した。「味付榨菜」について、23年3月から中国四川省で原料調達から瓶詰までの一貫生産に対応した独資の工場を稼働する計画も明らかにした。
同社長は広告宣伝主義にも言及し、コミュニケーションを「ごはんのお供」から「料理のお供」にシフトさせていること、その一環として22年5月にレシピ本「桃屋のかんたんレシピ」を発売したことを紹介。TVCM、ラジオ番組、SNSなどを通じ、顧客価値の伝達に力を注いでいることを報告した。
23年度の方針については「前期同様、良品質主義と広告宣伝主義の企業理念を徹底していく」としたうえで、新しい施策として外勤時間を増やす営業活動改革に取り組む考えも強調。「プリミティブな話」としながらも、情報システム面でのサポートを含む改革に取り組む方針を示した。