「まだ食べられるのに…」にメス 納品期限超過のネスレ商品販売へ「食品ロス削減ボックス」

食べられるにも関わらず捨てられてしまう食品ロスを極力減らすための新たな取り組みが、「キットカット」など納品期限超過のネスレ商品で17日に開始された。

納品期限とは食品業界の商慣習として取り決められている取引条件の一つで、製品を出荷できる期限が製造日・製造月からの経過期間によって設定されている。たとえば賞味期限12か月の場合、出荷可能期間は3分の1ルールでは4か月、2分の1ルールでは6か月となり、期間を過ぎた商品は返品されたりする。

ネスレ日本では、過剰在庫が発生しないように需要予測し製造計画を立てているものの「納品期限超過商品を完全に防ぐことは難しい状況になっている」と高岡二郎飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒー&RTDビジネス部部長は語る。

納品期限は流通企業によって異なることから、ネスレ日本は納品期限超過で戻された商品を別の流通で販売してもらえるよう営業活動を行っているほか、フードバンクや子ども食堂などに寄贈したりしている。

みなとく公式サイトからスマホで購入(食品ロス削減ボックス) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
みなとく公式サイトからスマホで購入(食品ロス削減ボックス)

今回は、そのような取り組みをした上で最終的に廃棄せざるを得ない商品を極力減らすべく無人販売機の運用を開始した。

無人販売機は「みんなが笑顔になる食品ロス削減ボックス」と称し、ベンチャー企業のみなとくが開発したシステムが導入されている。

ボックスは、家庭用冷蔵庫と同じ電圧100Vで稼働し、冷却システムとセキュリティーシステムを備え、消費者はスマホを使って利用する。

みなとくの公式サイトからスマホで商品を購入すると、登録したメールアドレスにワンタイムキーが送られる。

次に、ボックスのQRコードを読み取りワンタイムキーを入力するとボックスのロックが解除され商品を受け取ることができる。なお、受け取り時の不正防止のため、ボックス上部にはカメラが備え付けられている。

販売されるネスレ商品。上部にカメラが備え付けられている(食品ロス削減ボックス) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
販売されるネスレ商品。上部にカメラが備え付けられている(食品ロス削減ボックス)

廉価販売が目的ではなく、「ギリギリまで販売させていただいて食品ロスの削減に努める」のが狙い。

みなとくの沖杉大地社長も「環境意識の高い方だけではなく、今まで食品ロスの実態をご存知ない方にもこのボックスを通じて知っていただきたい」と期待を寄せる。

ボックスは郵便局や駅、オフィス内など全国5か所に設置。各エリアでみなとくが物流を委託し、「現在のところ1週間1回の補充を考えている」。

販売商品は「キットカット」や「ネスカフェ」のボトルコーヒーやスティックコーヒーなどで、販売動向を見ながら変更していく。

株式会社アピ 植物性素材 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)