コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス(CCBJIH)の第1四半期(1~3月)飲料販売数量は、計画通りに推移していた1、2月から一転し、新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月に前年を10%割り込み累計で前年比4%減となった。
第2四半期の出足となる4月は20%以上のマイナスを記録。14日に決算発表したカリン・ドラガン社長は「明らかに前例のないことであり、われわれは変革を加速させて、市場がニューノーマル(新常態)に回復したときに戦える状態にする。また今年を乗り越えるため、即効性のあるコスト削減に全力を注ぐ」と語った。
変革については第2四半期末までに、近畿エリアでパイロットテストしている自販機オペレーションプロセス再構築と東京エリアで実施している営業拠点の統廃合の取り組みを全国展開する。
一般的に自販機に商品を補充する際、ルートカー(トラック)から必要な種類と本数をピッキングして段ボールに詰め込み、その段ボールを台車に乗せて対象の自販機まで運んでいくが、近畿の取り組みは、このルートカーでのピッキング作業も不要とする画期的なモデルとなる。
コスト削減では、主に設備投資とマーケティング投資を削減。商品(SKU)数も絞り込んでいく考えで「新しい消費者の需要とトレンドを評価し、コアSKUのどこを強化すべきか検討している。消費者が安心して購入できる商品の強化を予定し、強い販売チャネルがどこなのかも見極めていく」。
直近の販売チャネル別動向としては、食品スーパー・総合スーパー・ドラッグストアが販売数量を維持し「大型容器の一部で販促価格が増加している」。
一方、都市部のコンビニ、料飲店、駅・学校・レジャー施設・オフィスなどに設置されている自販機は落ち込みが顕著になった。
感染拡大以降、大幅に販売を伸ばしているのがオンラインチャネルで「このことが消費者の嗜好や行動の変化をどの程度あらわしたものなのかを重視している」。
商品・マーケティング戦略は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020)の延期開催や消費者の意識・行動の変化を見据えて急遽変更した。
日本コカ・コーラの和佐高志チーフ・マーケティング・オフィサーは「家庭内の消費が高まる中、われわれのコアブランドの活動でも家の中での時間を充実させるキャンペーンに切り替えている」と説明した。
「コカ・コーラ」ブランドは3月25日から、「スクリーンの時間はコークでしょ。」をテーマにした「スクリーンタイム」キャンペーンを展開し、映画、ドラマ、スポーツ、オンライン動画視聴時での飲用を訴求している。
「綾鷹」ブランドは、家庭での寛ぎ時間にフォーカスして「お湯で寛ぐ」キャンペーンを展開している。
夏場に向けては引き続き「コカ・コーラ」「綾鷹」「ジョージア」「い・ろ・は・す」「アクエリアス」の5つのコアブランドに注力し、店頭では4月から「希望が、みんなをひとつにする。」キャンペーンを展開して5ブランドをアピールしている。加えて「TVCMなどのコミュニケーションを夏にかけて実施する予定」(和佐CMO)。
コカ・コーラシステムが“ビッグベット新商品”と位置づける「ジョージア ラテニスタ」シリーズと「ファンタ プレミアグレープ」にも引き続き注力していく。
なお今後の見通しについて、ドラガン社長は「影響がいつまで続くか分からないが、第2四半期が影響のピークになると予想している。最悪の結果を防ぐため早急に行動する一方で、コスト削減と変革を加速させ、将来のポストコロナに備えるための準備をしていく」と述べた。