昭和産業がボーソー油脂を買収 TOBで完全子会社化へ

昭和産業は米油メーカーのボーソー油脂を完全子会社化することを目的に、株式公開買い付けを実施する。買い付け期間は5月18日から7月13日まで。買い付け価格は1株当たり1千80円で、総額は約16億円を予定。全株取得を目指し、完全子会社化する。

ボーソー油脂は米油の製造・販売を中心とする中堅製油メーカー。19年3月期の売上高は118億円。主力である米油はプレミアムオイルとして消費者の認知度が向上し、販売が拡大しているが、製造子会社の設備移転に伴い、17年6月に収益性の低下していた菜種搾油から撤退した。かつて200億円程度あった売上げ減少と稼働率の低下により、2期連続の営業赤字を計上。前期は外部からの原油調達による菜種油の再拡販に努めたが、計画比75%程度にとどまり、さらに新型コロナで学校給食向けの米油の需要が急減。3期連続の赤字決算となり、早期の収支改善と安定的な事業継続の確保が大きな課題となっていた。

こうした中で、ボーソー油脂は18年秋頃から資本業務提携を含めた戦略的パートナーを模索。有力候補として事業所が近接し、業務シナジーが期待できる昭和産業に打診。両社で検討を重ね、早期のシナジー創出には完全子会社化が必要との判断で合意した。

具体的な取り組みでは、両社の搾油拠点統合による生産効率の向上や共同購買、物流・保管コストの削減、研究開発面での相互連携を進める。また、ボーソー油脂の米油を昭和産業グループの製粉・油脂・糖質などと一体提案することで業務用・家庭用での販売強化と事業領域の拡大につなげる。

なお、TOB成立後、ボーソー油脂は上場廃止となる予定。