18年度業務用冷食市場は、上期は人手不足への対応に一役買うとして順調に推移したものの、下期は一部カテゴリーを除き雲行きは怪しく、通年では前年超えとみられるが、先行きは不透明だ。
冷食市場は業務用・家庭用ともに下期から企業により差はあるが、両市場ともに伸び悩み「家庭用が沈めば業務用は上がるといった関係があったはずだが」と首を傾げる関係者もいる。
要因ははっきりとしないが複合的との見方は多い。一つは「分かりやすい商品が行き渡った」こと。「市場は分かりやすい商品を探しており、その過程で市況が盛り上がらなくなっているのでは」(メーカー)との声も聞かれる。一部のメーカーでは産業給食向けがやや厳しく、中国景気の減速などが影響しているのではともささやかれている。
昨年末頃から10連休向けに財布の紐を絞めているのではとの見方もあり、また秋に予定される消費増税への心理的な影響や中長期的な社会保険料の増額で可処分所得が減少していることなど「業・家用ともに長い波と直近の動きが合わさることで市況が厳しくなりつつあるのでは」と言われる。
ただ、人手・設備不足への対応商品やシェアの高い商品などは堅調。「商品力、営業力など企業の力が試されている」(関係者)。特に自然解凍など簡便調理品は人手不足の中で需要がさらに増すとみられ、各社とも注力するところだ。
日東ベストは主力の肉・デザート系の商品が好調。主に学校給食向けの「フレンズミール」から「うす塩味」シリーズを4月に投入。昨年8月の学校給食実施基準の改正に即したもので「国産鶏豚使用のハンバーグ」や「たれ付き肉団子」「うす塩味バーガーパティ」などを揃えた。
ヤヨイサンフーズは今春、原料にこだわったドリアを投入。従来のグラタン類は冬場が主な商品だったが、ドリアは夏場にも強いことからグラタン・ドリアの通年展開を図る。
ニチレイフーズは市場並みの推移。今春は湯せん対応の「ボイルでサックッとコロッケ」(牛肉入り)と「同クリームコロッケ」(かに入り)を発売。介護施設などではボイリングパックしか対応できない厨房も存在するが、従来タイプは品質に難があった。今回は独自技術で水分を保ちサクサク感を実現。反響も大きい。
日本水産は下期から上昇傾向で、マーケットインで開発した商品ほど反応は良いという。昨秋投入のグラタン類や、細かい部分にこだわったという「海老がギッシリ!ご馳走海老フライ」などフライ3品は堅調。今春投入の「大粒肉シューマイ」は新型成型、味付け、具材にこだわり手作り感ある商品に仕上げ、商談状況も良い。
味の素冷凍食品は数年前から調理現場の課題解決に取り組んでおり、技術的な蓄積もあって伸長に寄与。デザート、焼目付き餃子、自然解凍の焼売、ジャー保存可能な米飯といった機能付きの商品・カテゴリーが堅調。今後は品質訴求と機能性付与・向上が主な方針だ。「ガツうま!チャーハン」はSA・PAに受け入れられたことから始まり提供シーンが広がり、従来品と比べて伸長の持続性が強い。厨房の設備や調理熟練度に応じてさまざまなオペレーション(4種以上)を組めるマルチオペレーションに関しては今後も新商品開発で検討する。
マルハニチロはCVS・惣菜・テイクアウト弁当・介護施設などが順調。自然解凍品が特に受け入れられており、またカロリーオフ商品もレストランチェーンで採用され、今後も両カテゴリーの展開を検討していく。