食品ロス削減へ納品期限緩和進む CVSはカップ麺の期限緩和

加工食品に関する小売各社の納品期限緩和の状況は、「平成30年度食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム加工食品検討会」(以下、WT)がまとめたもので、総合スーパー(GMS)ではこれまでに、イズミ、イトーヨーカ堂、ユニー、イオングループのGMS6社が飲料、菓子を中心に納品期限を緩和している。

このうちイトーヨーカ堂は今期、インスタントラーメン(カップ麺、袋麺)も納品期限緩和の対象に加える。インスタントラーメンの賞味期間はカップ麺が6か月、袋麺が8か月。イトーヨーカ堂は昨年1~2月、3~6月にかけて首都圏センターを対象に、袋麺とカップ麺の納品期限緩和の実証実験を進めた。その結果、専用センターでの納品期限切れ改善率が0.10%低下。食品ロス削減額155万2千円という結果が出たことを受け、実運用を緩和することにしたもの。

同様に昨年1~2月、レトルト食品(中華調味料、おかず調味料)を対象とする実証実験では、従来の1/3ルールでも納品期限切れによるロスがほとんどないことが確認され、納品期限緩和による効果が少ないことが分かった。半面、バンドル販売構成比が高いことなどを理由に、家庭内在庫期間が長めと考えられることから、消費段階でのロス増加につながる可能性がないか精査が必要と慎重な見方を示している。

コンビニでは、セブン―イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンが、昨年1月から8月にかけて、北海道や北陸エリアを対象に、カップ麺の納品期限緩和の実証実験を進めたが、「納品期限切れ発生金額が88.7%減少」「カップ麺全体で90.1%の返品削減につながった」「返品率が0.08ポイント低下」など、3社とも専用センター段階での食品ロス削減につながる効果が確認され、店舗サイドでも値引きや廃棄増などの問題のないことが確認されたことから、コンビニ業界としてカップ麺の納品期限緩和=表=を推進していく方針だ。

一方、食品スーパーでは、ヤオコーが今年4月から、専用センターにおけるドライグロサリー(コメをのぞく)の入荷許容期限を見直し、納品期限を賞味期限の1/3から1/2に緩和。ドラッグストアではサッポロドラッグストアが今年1月から、飲料、菓子について納品期限を緩和するなど、食品ロス削減に向けた納品期限緩和の動きが加速している。

こうした各種事例を踏まえ、WTでは今後、袋麺やレトルト食品などについても、販売後の家庭用在庫期間を考慮しつつ、納品期限の緩和を前提に検討すべき品目に挙げた。また、賞味期間が180日以上のグロサリー全商品の納品期限を緩和して特段問題が生じていない小売事業者を例に、小売店や家庭での廃棄等の問題がないと思われる場合、サプライチェーン全体での食品ロス削減に向け、積極的な緩和を検討するよう求めた。

なお、WTでは今後、納品期限緩和の取り組み拡大を推進するため、卸汎用物流センターの納品期限緩和の推進、加工食品の納品期限の見直しに取り組む企業の拡大に加え、賞味期限の年月表示拡大に向けた検討を進めていく考えだ。

WTの参加企業は味の素、江崎グリコ、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、サントリー食品インターナショナル、日清食品、マルハニチロ、国分グループ本社、三菱食品、山星屋、イオンリテール、イトーヨーカ堂、サミット、東急ストア、ファミリーマート、日本生活協同組合連合会。