7.4 C
Tokyo
9.5 C
Osaka
2026 / 02 / 11 水曜日
ログイン
English
流通・飲食國分勘兵衛 平成を語る〈2〉 過当競争と規制緩和 崩れた需給バランス 新たな公正取引ルール必要

國分勘兵衛 平成を語る〈2〉 過当競争と規制緩和 崩れた需給バランス 新たな公正取引ルール必要

――次に景気と競争環境についてお聞きします。バブル崩壊の後、デフレ不況を強く感じ始めたのはいつ頃ですか。

食品は比較的安定した業界ですからね。経済停滞の中でもひどい不況を感じたことはなかったと思います。支持される小売業態の入れ替わりはありましたが、市場全体では平成を通して堅調な流れを保っていたのではないでしょうか。

ただし、次第にオーバーストア、オーバーサプライが色濃くなり、過当競争に拍車がかかっていったのは確かです。低価格化も進みました。私が国分に入社した昭和42年(1967年)当時はビールでも供給不足が頻繁に発生していましたが、昭和末期の「アサヒスーパードライ」の爆発的ヒットを最後に、そういうことは滅多に起こらなくなりました。

――過当競争の問題は平成10年代の初め頃から指摘されていました。それでも需給バランスや競争環境を修正できなかったのはなぜでしょうか。

やはり、根底にあるのはシェア争いでしょうね。需要が伸びない中で自分の会社が成長するためには、シェアを広げざるを得ない。ところが、競合他社も同じように考えているので、熾烈なシェア争いになり、需給も価格も崩れていったということです。

――シェアへの執着が企業の本能だとすると、今後も平成期と同じような競争環境が続いていくのでしょうか。

続くと思います。しかし、人手不足などによる昨今のコスト環境変化の中でサプライチェーンを維持していくためにも、採算度外視のダンピング合戦は避けなければなりません。それには行政の力も必要です。皆さんよくご存じの通り、酒類に関しては平成29年(2017年)の酒税法改正によって単品レベルでの総販売原価割れ販売が禁止されました。今後は同様の公正取引の枠組みが食品にも求められてくるのではないでしょうか。

――食品の過当競争が深刻化した背景には、平成初期に行われたさまざまな規制緩和の影響もありそうです。平成2年(1990年)以降の運送規制緩和による運賃・賃金の低下が昨今のトラックドライバー不足につながったという見方もあります。今後の規制・開放政策のあり方をどのように考えますか。

規制は特定の一部の業者に権益をもたらすものであって、必ずしも業界全体の発展や消費者利益の確保につながるものではありません。今後もできるだけ規制をなくし、競争を促進していくべきでしょう。ただし、先ほどの価格の話と同じで、自由で公正な競争環境を保つためには行政のグリップも必要です。つまり、規制を緩めつつも一定のルールのもとで運用を行っていくことが肝要なのだと思います。価格だけでなく、適正な労働環境の整備などを参入条件に加えるという考え方もあるでしょう。

――仰る通りですね。平成の規制緩和にはそうしたグリップの発想が欠けていたのかもしれません。(つづく)

関連記事

インタビュー特集

学生が育てるアーモンドの木 明日の社会へ価値循環 デルタインターナショナル×キャンポスブラザーズ

アーモンドの世界的産地である米カリフォルニア州でも、トップクラスの供給量を誇るキャンポスブラザーズ社。日本の販売総代理店を務めるデルタインターナショナルでは、学生の手でアーモンドの木を育てて商品化することを目指す玉川大学の...

原点は休憩中に見上げたキウイ 全国で食材発掘、生産者と企業つなぐ サッポロビールの地域創生事業

 明治9年(1876年)、北海道で新たな産業を興すべく設立された「開拓使麦酒醸造所」をルーツとするサッポロビール。創業150周年を迎える今も、その“開拓”の精神は息づく。ビール会社としての枠にとらわれない発想力を武器に、事業領域拡張の最前線で奮闘する人物に迫った。一次産業を担う各地の生産者と企業のバイヤーをつなぎ、農林水産物の需要創出をサポートするサッポロビールの地域創生事業。その原点は、外食企業のコンサルティングを手がける部署で九州の拠点に配属されていた、一人の担当者のひらめきだった。

カキ養殖の展望を聞く〈前編〉 “殻付き”市場拡大 環境変化と効率化に対応 シーパジャパン・吉本剛宏社長

瀬戸内海で養殖カキが甚大な被害を受け、生鮮市場だけでなく加工メーカーや流通にも影響が及んでいる。こうした中、従来の養殖方法とは異なるシングルシード養殖法が注目されている。

繋げる、繋げる、繋げる たこ焼きコミュニケーション足掛かりに TKO・木本武宏さんが次のフェーズへ

STUDIO TAMUROはお笑いコンビ「TKO」木本武宏さんの活動拠点。木下さんの実妹・大岡真裕美さんが代表を務める「オフィスTAMURO」が運営し、トークライブや、YouTube番組作成スタジオとして利用してきた。昨年5月からは新たな活動として、毎月3日だけ営業する「たこ焼き店」がスタートした。

SST=“サミットの仕事が楽しい”へ 新たな競争軸を作る 服部哲也社長

――中期経営計画の進捗はいかがですか。― 服部 「良い×強い=最強」という言葉を掲げた中期経営計画「頂(イタダキ)2025」は、最終年度を1年延長して26年度までとした。