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ロッテ、ガーナのカカオ農家に新支援策 3年間で収量約1.7倍計画 自然環境の保護や農家の収入源多様化にも寄与

 ロッテは、ガーナ共和国のカカオ農家に新支援策を行う。

 ガーナ政府機関と共同で現地に適合した多種多様なシェードツリー(日陰樹)を提供するアグロフォレストリーの普及プロジェクトが始動した。

 アグロフォレストリーとは農業と林業を組み合わせた造語。ココナッツなどカカオの樹よりも背の高いシェードツリーをカカオの樹の間に混植することで、カカオを強い日差しから守りつつ、土壌の保水性を向上させるなど自然環境の保護や農家の収入源の多様化を図る持続可能な栽培方法となる。

シェードツリーの苗木
シェードツリーの苗木

 プロジェクト期間は2026年から3年間。3つのシェードツリーの苗木育成センターを設立して約8000人の農家へ約50万本の苗木の提供を予定し、農家への研修や継続的なフォローアップも行うことで、対象となる南部オフィンソ地区の平均カカオ収量を現在の約1.7倍となる1ヘクタールあたり750キロへと引き上げる。

 2027年に独立70周年の節目を迎えるガーナへの感謝と祝意に加えて、サプライチェーンの強靭化を目的とした多様な支援策の第1弾となる。気候変動による影響が深刻化していることを受けて第1弾にアグロフォレストリーの普及を選択した。

シェードツリーの1つココナッツの苗木(右)と左から宮野啓治執行役員、生産本部資材部の久保直樹部長、サステナビリティ推進部企画課の飯田智晴課長
シェードツリーの1つココナッツの苗木(右)と左から宮野啓治執行役員、生産本部資材部の久保直樹部長、サステナビリティ推進部企画課の飯田智晴課長

 9月10日、発表会に臨んだ宮野啓治執行役員は「チョコレートを主力事業の1つとする当社にとってカカオ生産地の課題は経営リスクに直結する。カカオ豆の持続可能な調達活動が事業のレジリエンスに直結すると再認識した経験もあった。カカオ産地の課題解決に取り組むためのコストは、コストではなく事業基盤への重要な投資であると考えている」と語る。

 ICCO(International cocoa organization)統計によると、ガーナ産カカオ豆の近年の生産数量は22/23クロップ(2022年10月から23年9月)が65.4万トン、23/24(2023年10月から24年9月)が45.0万トンを記録し、24/25(2024年10月から25年9月)が60万トンと推定。

 カカオ豆の持続可能な調達に影を落とした23/24は、カカオショックと呼ばれるもので、エルニーニョ現象の発生によりコートジボワール・ガーナのアフリカ二大生産国が大減産に見舞われたことが引き金となった。

 加えて、ガーナでは2022年12月にガーナがデフォルトに陥り、資金不足と肥料の高騰により栽培に万全の体制がとれなかったことも追い討ちをかけた。
これにより農家が金の違法採掘者に土地を売り渡してしまう事態も発生したという。こうした情報が飛び交ったことで投機筋を刺激しマネーゲームの対象となり価格が一気に跳ね上がった。

 現在は、農協の役割を果たす政府機関「COCOBOD(ココボード)」の機能が回復し、農家からの買上価格も引き上げたことで「生産意欲は上がってきている」と生産本部資材部の久保直樹部長はみている。

 懸念材料は、26/27への影響が予想されるスーパーエルニーニョ現象。過去、エルニーニョ現象発生時期はカカオ生産量減少時期と重なっていたことから「非常に懸念される」と気を引き締める。

 こうした観測から、カカオ相場は一時期1トン2000ポンドのレベルまで下がり落ち着きをみせはじめていたものの、再び上昇傾向にある。

農家への研修
農家への研修

 カカオ相場が歴史的に乱高下する中、ロッテでは持続可能なサプライチェーンの実現に向けて、調達するカカオ豆生産地のトレーサビリティの確立と生産地が抱える課題への支援を行っている。

 農家までのトレーサビリティが確立された豆を「農家への研修)」と名付け2028年度までに調達する全てのカカオ豆をLSCにするという目標を掲げている。
 
 「LSCに関しては、23/24の大減産時も全ての契約分を調達できた」(久保部長)という。

 2025年度のLSC率は84%。このうち、ガーナからの調達においては100%に達した。

 100%を達成したガーナでは一歩先の取り組みとして今回のプロジェクトを始動。一方、全体での100%化に向けては「(ロッテが使用するカカオの)約8割がガーナであり、残り約2割のベネズエラでトレーサビリティを進めていきたい」と述べる。

 ただ主軸は引き続きガーナ産と定める。ロッテはガーナ産のカカオ豆でチョコレージ事業を開始。以降、60年以上にわたりガーナと関係を構築している。

 「私たちガーナという名前をチョコレートに使わせていただいており、これからもガーナを支えつつ共存共栄を目指して調達活動を進めていく」と力を込める。

 生産量ではコートジボワール(24/25に168.1万トン)がガーナを凌駕するものの、コートジボワールにはない魅力としてココボードのような農協の役割を挙げる。

 「ココボードのお陰で農家への指導が行き渡っている。どの農家にも乾燥台があり、乾燥や発酵のやり方も均一化され品質がよく安定している」と評する。

 サステナビリティ推進部企画課の飯田智晴課長は、サプライチェーンの強靭化に向けた活動の柱として、森林保全・児童労働の撤廃・農家の貧困対策の3つを紹介する。

森林保全については、LSC調達先農家の森林減少への関与の有無について衛星情報を用いてモニタリングしており、万が一、森林減少への関与が認められた場合は農家への指導と森林回復への支援に乗り出す。

「24/25クロップの実績としてマッピング率は78%に達し、万が一、何か起きたとしても現地調査と指導をきちんと行われる体制が整えつつある。今のところ森林減少と該当された事例は見つかっていない」と説明する。

児童労働の撤廃の取り組みとしては、LSC調達先農家へ児童労働監視管理システム(CLMRS)や同等のシステムを導入してモニタリングを継続。国際社会の流れや学校教育の重要性を説く啓発活動や包摂的な支援も行っている。

包摂的な支援としては、女子の教育機会の損失を防ぐ目的で生理用品の寄贈と地域全体の理解促進を実施。そのほか、教員宿舎の建設(2026年11月竣工予定)や学用品の寄贈、水汲みが児童労働の対象になりやすいことから井戸の寄贈などインフラ支援などを行っている。

農家の貧困対策としては、営農指導を実施。肥料や農薬の適切な使用方法、剪定、雑草刈りの重要性などのトレーニングを行っている。

金融サービスにアクセスできないLSC調達先農家に対しては、村内貯蓄組合(VSLA)の立ち上げと運営をサポート。農家はここから借りた資金を農薬や肥料購入、ライフイベントに充てることができる。

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