需要が拡大する冷凍食品。2025年の国内消費量は302万9325t(前年比3.6%増)と初めて300万tの大台を突破した。1996年に200万tを超えて以降、約30年で1.5倍に増えたことになる。その間、家庭用が2倍以上に伸びて牽引した。背景には単身者・シニア層・共働き世帯の増加など社会環境の変化がある。
日本冷凍食品協会の出倉功一専務理事は「冷凍食品は衛生・品質管理がなされ、おいしく、調理も簡便な食品として時代のニーズに合った価値を持っている。生活者の方々にもっと積極的に選んでいただけるよう情報発信に力を入れていきたい」と話す。
現代の日常では、ギョウザ、麺類、炒飯、唐揚げなどの冷凍食品が食卓にのぼることは当たり前になった。近年は主食とおかずがセットになったワンプレート商品の伸びが著しい。喫食経験が増えたことに伴い、「冷凍食品がおいしくなった」としてテレビなど大手メディアに取り上げられることも増えた。
その原動力として、協会の川﨑順司常務理事は「会員メーカーが認定マーク制度に基づく安全・安心な製品づくりを徹底していることに加え、絶え間ない企業努力による調理加工技術の向上が大きい」と説明する。
「工場の生産ラインは凍結技術だけでなく、原材料の配合、素材の前処理、調理方法、包装など様々な工程がある。そのすべてにおいて、食卓で最もおいしい状態で食べられるよう、メーカーが試行錯誤を続けている」ことを強調し、「それら知見やノウハウの蓄積が冷凍食品の品質向上を支えている」とした。
おかずや主食だけでなく、冷凍野菜の需要も増えている。財務省貿易統計によると、昨年の冷凍野菜輸入額は3343億円、0.9%増と過去最高を更新した。
出倉専務理事は「健康志向で野菜摂取の意識が高まる中、長期保存・時短調理・食材ロス削減などの点で選ばれている」とした上で、「冷凍食品は食品を冷凍保存して流通していることに価値がある。近年は気候変動で野菜や果実の収穫が不安定になっているが、冷凍野菜の素材はメーカーが世界中の産地から調達。調理時に使いやすいよう加工処理してバラ凍結している」ことをアピールした。
協会の調査によると、冷凍食品の利用で時短を実感する生活者が増えている。女性は1食当たり平均約20分(男性約18分)、1か月当たり平均約12時間(同約10時間)の時短効果を感じているとの結果が出た。冷食の利用で時間の余裕が生まれ、男女とも「自分のための時間」「睡眠・休息・リラックス」「家族や身近な人と過ごす」などに生かしているという。
出倉専務理事は「冷凍食品の利用は『手抜き』ではなく、時間を有効活用する『手間抜き』であると考えていただければ。例えば電子レンジ調理できる冷凍食品の場合、われわれ会員企業の工場で素材の前処理から最終製品までの調理を担っている。生活者の方々と手間を分かち合っていることの価値を伝えていきたい」と述べた。
