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PBの米は高くても売れる!? 購買データから見えた「売れるPB米」の共通点

 昨年の夏以降、米価格高騰が大きな話題となったが、その中でプライベートブランド米(以下PB)の存在感が増している。

 分析にあたりスマートフォンアプリ「CODE(コード)」から収集される毎月約30万人の購買データを活用し、リサーチ・アンド・イノベーション社の西村まどかさんが以下寄稿する。

 米の価格や品揃えは産地等の影響でエリアによって異なるため、今回は京浜エリアを事例として分析を行った。
最初に、京浜エリアの中で米の売上金額が高いチェーンの米のPB比率を確認した(図1)。

図1
図1(クリックで拡大)

 その結果、イオンやイトーヨーカドー、ヤオコーや東急ストアなど、米全体の売上のなかでPBが一定の売上を占めているチェーンもあれば、ライフや西友、マルエツやサミットストアのようにPB比率の低いチェーンもあり、PB商品の売上にはチェーン間で大きな差があることがわかる。
 今回はその中でも特にPB比率の高いイトーヨーカドーと東急ストアに注目した。
 
 では、PB比率が高いチェーンにはどのような特徴があるのか。
イトーヨーカドー、東急ストアの売上を容量別に確認した(図2)。イトーヨーカドーのメーカーブランド米(以下NB)は「5kg」が中心に売れているのに対し、PBでは「2kg」も売れていることがわかる。

図2
図2(クリックで拡大)

 NBとPBで異なる容量を展開することで、消費者のライフスタイルに合わせた選択肢を提供できていると推察される。
さらに、売上の内訳を銘柄別に確認した(図3)。NBでは「ブレンド米」が売上の大半を占めているが、PBでは「ななつぼし」や「コシヒカリ」といった有名銘柄米がよく売れていることがわかる。

図3
図3(クリックで拡大)

 NBでは「ブレンド米」、PBでは「銘柄米」がよく売れているという結果は、東急ストアにおいても同様である。
以上のことから、NBとPBにおいて容量や銘柄の異なる商品を販売することで、互いに需要を食い合わずに効率的な売り場づくりが実現できていることがわかる。

また、商品単価にも興味深い特徴が表れている(図4)。イトーヨーカドー、東急ストアにおける売上上位商品の単価を確認すると、NB商品と比べPB商品が高単価であるケースが確認された。

図4
図4(クリックで拡大)

 一般的にPBというと「価格が安い」というイメージが強いが、米に関しては消費者が単なる「安さ」だけを求めるのではなく、銘柄米であるという「価値」も一定重視する傾向があるものと考えられる。

 実際、銘柄米購入者の口コミを確認すると「米の価格高騰は痛手だが、質は落としたくない」「高くても納得感のある美味しさを選びたい」といった声が見受けられる。
日常的に消費する食材だからこそ、価格以上の安心感や満足度を優先したいという、消費者の「質へのこだわり」が銘柄米を選択する動機になっていると言える。
イトーヨーカドー、東急ストアについても、PBだからと言って安易に安売りせず、銘柄米のブランド力を活かすことでしっかりと売上を上げていることがわかる。

 昨今の経済状況から消費者の節約志向は高まっている。
 また、今年に入り米価格は下降傾向にあり、今後は供給過剰によるさらなる値下がりの可能性も取り沙汰されている。
その中で安易な価格競争を避け、売上を上げていくためには、消費者のライフスタイルや嗜好などそれぞれのニーズに合わせたNB・PBによる「棲み分け」の商品戦略が重要であると言えそうだ。

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