日清製粉は11月10日、岡山県産小麦「ふくほのか」を100%使用した業務用小麦粉「晴天ノ絆」を中四国地区向けに発売した。
中四国地区の中でも岡山県は、ソフトで粘りのある独特のうどん文化が根付いている。これまで日清製粉岡山工場では豪州産小麦を使った「白椿」を50年以上にわたり生産してきた。5月に水島工場が稼働したことを機に、新たなうどん需要に対応すべく、県産原料を使い同工場で生産するうどん用粉として製品化した。

うどんにすると表面が滑らかで、噛むともっちりとした食感が最大の特徴。吸水性が高く、ゆで時間も短く済む。手打ち麺以外にも、冷凍耐性があるためでんぷんなどを不使用で冷凍麺を製麺できる。
うどんに加工した際のやんわり、もっちりという食感は「白椿」ではカバーできない新たな生活者ニーズや嗜好の多様化に対応可能だ。口どけの良さや国産小麦特有のしっとり感を得られることから、和洋菓子用途の適性もある。25㎏クラフト袋入りで、灰分0.36%、粗たんぱく7.4%(標準値)。
製品名は、“晴れの国”といわれる岡山の青空をイメージした「晴天」と、長きにわたり製粉工場が稼働していた岡山と坂出という地域との関係を引き続き大切にしながら、ともに食文化を創発するという想いを込めた「絆」を組み合わせた。
同社では地産地消、持続可能な地域経済実現の取り組みに貢献すべく、北海道から九州まで国内で生産される小麦を原料とした小麦粉を生産している。滋賀県産小麦100%使用の「淡海人」や北海道産小麦100%使用の「ゆめ舞華」、群馬県産小麦100%使用の「赤城の風」などは、地域のユーザーとの連携により食文化創発に貢献している。
水島工場を公開 自社ノウハウに新技術を融合
日清製粉は5月に稼働を開始した水島工場(倉敷市)を報道陣や取引先関係者らに公開した。総工費180億円をかけた同工場は日産550tの小麦挽砕能力があり、小麦粉サイロの収容力は4200tを誇る。立体自動倉庫には20万袋を収容する。
水島工場は日清製粉が培ってきた技術に、最新の自動化、デジタル技術を融合させた環境配慮型工場。同社では国内外の全工場の生産性を20%向上させる取り組みを進めている。デジタル技術の導入により自動化が図られ、無人フォークリフトやAGV(無人搬送車)、荷揃えロボットが稼働するほか、データの分析や画像検査などではIoTやAIが活躍している。
製粉工程で39機が稼働するロール機も熟練した技術と経験が必要な調整を自動化し、スキルレスを実現した。当面の目標として、5年後には夜間操業の無人化を掲げている。環境面でも太陽光発電や省エネ設備を導入。非化石証書を活用し、使用電力の100%を実質再生可能エネルギー化した。
水島工場は同社国内外工場のロールモデルとしての役割を担い、省人化のみならず、デジタル技術を活用することで顧客ニーズに合致した小麦粉を生産することを目指す。また地震や液状化、高潮などの災害に強い工場としてBCPにも対応した。
山田貴夫社長は「最新鋭の設備を有する水島工場で作る高い品質の小麦粉を安定的に供給することが皆さまへの恩返しになると考える。自社を食文化創発カンパニーと位置付け、これまで以上に皆さまのビジネスに貢献できるよう努力したい」と語っている。



