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キリン、多くが廃棄されるコーヒーチェリーの果肉・果皮を使い発酵素材を開発 産地と環境に貢献 果実感・コク・飲みごたえ増強

 キリンホールディングスは、コーヒー豆の原料となる種子を取り出した後のコーヒーチェリーの果肉・果皮を使い発酵素材を開発した。

 世界のコーヒー産地で種子を取り出した後のコーヒーチェリーの果肉・果皮の多くは廃棄される。これを価値ある素材として活用することで、コーヒー農園の持続性と環境負荷軽減に寄与していく。

 発酵素材は香料として、食品・飲料・酒類の果実感やコク、飲みごたえなどを増強させる効果があり、様々な商品に活用できる可能性も秘めている。

 10月29日、発表会に登壇した辻さや香R&D本部飲料未来研究所研究企画ユニット主務は「コーヒーチェリー由来の発酵素材は他の素材のいいところを引き出すような新素材。まずは当社の商品で活用・拡大を図りながら、将来的には他社製品も含めたより多くの商品で活用していただきたい。酒類や飲料以外に、調味料やゼリーなどでも効果を確認している」と力を込める。

左からキリンホールディングスの辻さや香氏、キリンビールの宮崎雅大氏
左からキリンホールディングスの辻さや香氏、キリンビールの宮崎雅大氏

 辻氏は、コーヒー飲料を開発する中で、コーヒーチェリーからコーヒー豆を取り出した後の果肉や果皮が年間で約2000万トン廃棄されている点に着目。2017年11月から活用方法を模索し始めた。

 その後、同社独自のワインの香気増強技術からヒントを得て、コーヒーチェリーの果肉・果皮のエキスを乳酸菌で発酵させたのち、酵母で発酵させることで新素材を開発。実用化できる段階になるまで約6年を要したという。

 「新素材は一般的な香料よりも安価であり、少量でも効果が高い。素材そのものに強い香りがあるわけではなく、不揮発性の成分のため、汎用性も高い」と胸を張る。

 CSVの観点からもメリットがある。

 コーヒーチェリーの果肉や果皮にはカフェインやポリフェノールが含まれており、農園に放置されると水質・土壌汚染を招く恐れがある。

 新素材への活用はこの懸念を払拭するほか、果肉や果皮にも価値が見出され、果肉や果皮の購入を通じて生産者の収入アップにもつながりうる。
 加えて、無糖商品やノンアルコール・低アルコール飲料の満足度向上も期待できることから、アルコール関連の社会課題解決の有効なアプローチにもなりうる。

 新素材は香料として、今年4月から商品に活用。4月に発売し現在は終売した「麒麟特製 クリアサワー」と、今年5月から期間限定で発売された「同 メロンソーダサワー」に使用している。

 「特に、果実の香味があり炭酸が含まれている飲料と相性がいい」ことから、11月25日から期間限定発売される「麒麟特製 みかんサイダーサワー」にも使われる。

 キリンビールマーケティング本部マーケティング部商品開発研究所中味開発グループの宮崎雅大氏は、同商品について「コーヒーチェリー由来の素材の力で、飲み込んだ後でもお酒の苦味を抑えた心地良い余韻が楽しめる」と説明する。

 2026年以降はノンアルコール飲料への活用を検討しており、そのほかの飲料や食品への展開も検討していく。

 辻氏は「例えばコーヒー飲料に加えて、コーヒーの果肉や果皮も丸ごと使ったコーヒー飲料を開発できたらいいと考えている。コーヒーの苦味や味わいの厚みが向上するため、レギュラーコーヒーのような余韻を出せるかもしれない」との青写真を描く。

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