カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。バトンを渡す山口聡現社長(26年1月1日会長就任)は、奥谷氏について「国内、国際の両事業で成長にチャレンジしており、経営を任せるのに最適な人物」と評価。奥谷氏も「国内、海外両事業を着実に成長させることが使命」と認識している。
奥谷新社長は国内事業について「野菜のおいしさと健康価値により需要を創造する」とし、具体的には野菜飲料だけではなく、健康やウェルビーイングといった価値を創出。国際は「畑から食卓までの一貫したバリューチェーン、各国のネットワークを活用した業務用市場での成長」を目指す方針だ。事業領域の拡張では健康事業と米国で進めている農業研究領域に焦点を当てる。
バランスのとれた内外の成長について、「この課題は経営陣でも深くディスカッションしたが、非常に難しい課題」。国内事業は「野菜飲料事業全体の中でトマトジュースは絶好調。一方で野菜生活、野菜果実飲料は成長が停滞している。今後どう反転させるか、あるいは新しい価値も含めて需要を創造していくか。いつまでもトマトケチャップと野菜飲料だけの会社というわけにはいかない。新しい成長軸を国内でどう作り上げるか。私ども単独ではなく、オープンな形で連携、協力関係を築きながら進める」という。
海外事業は「5年前は収益構造改革によって利益体質を強化し、ようやく成長基軸に戦略を振ることができた。今後も成長を加速するにはM&Aも組み入れながら、新しい資源を獲得する」としている。
26年1月からスタートする新たな中期経営計画において、さらなる成長と企業価値の向上を目指すカゴメ。新中計の骨子について「一つ目は、農から食をドメインとして、心と身体の健康に貢献する事業領域への拡張。野菜不足解消の取り組みと精神的・社会的な健康に貢献できる領域への拡張。二つ目は、農から始まるバリューチェーンとグローバルに展開するトマト加工事業を、農業研究とグループ連携によってより太く強いものにして、海外でのさらなる事業成長を目指す」方針だ。
第3次中計では「トマトの会社から野菜の会社へ」を掲げてきたが、このビジョンを次期中計でも掲げるかどうかは公表していないが、「野菜を摂ることの大切さや野菜の魅力を伝えるための取り組みを進化・発展させていく」方針だ。
趣味は旅行。4年ほどイタリア駐在の折に世界遺産を30か所ほど巡り、帰国後も旅行の趣味が続いている。












