介護者の負担を軽減 キユーピー「やさしい献立」から7品

キユーピーは9月4日、市販用介護食「やさしい献立」シリーズのユニバーサルデザインフードの区分“かまなくてよい”から和食と洋食の計7品を発売した。

同区分の商品はペースト状やゼリー状など、そのまま飲み込める性状になっている。近年、増加するビジネスケアラーにとって調理時間や手間が短縮でき、介護の負担を軽減できると、利用拡大に期待がかかる。

新たに投入するのは「なめらかぶり大根」「なめらか牛すき焼き」「なめらか煮込みハンバーグ風」「なめらか海の幸のグラタン」「なめらか揚げだし茄子」「なめらかさつまいもと栗のきんとん」「なめらかほうれん草のポタージュ」(価格はいずれも216円税込み)。

かまなくてよい区分のやわらかさを手作りするには食事をミキサーにかけるなどの手間がかかり、適切な状態に仕上げることは容易ではない。仕事と介護に追われるビジネスケアラーからは、噛む力が著しく低下した人に対して手間を抜いた形で食事を提供したいというニーズが高まっていた。

「大好きだったあのメニューのおいしさが楽しめる」がシリーズのコンセプト。栄養バランスに配慮した機能的価値と「目先を変え、食べたい気持ちを取り戻す」といった情緒的価値も付与した。食べにくいメニューを食べやすくすると同時に、食経験が豊富な高齢者がおいしく安心して食べられる商品を目指し、育児食などで培ったノウハウも生かしている。プロのシェフに学んだ調理技術を駆使し、彩りや香り立ち、調理感、素材感にもこだわった。

「なめらかぶり大根」
「なめらかぶり大根」

「やさしい献立」ブランドの現状と今後についてマーケティング本部ウェルネス戦略部の木原光太朗部長は、介護食品やトクホ、機能性表示食品、サプリメントなどで構成される自社のウェルネス領域が拡大していることを紹介。「やさしい献立」の認知度向上と商品を磨くことでリピートにつなげると語った。

潤真奈美チームリーダーは段階的に進行する日本の高齢化の現状に触れるとともに、市販用介護食が被介護者本人の機能を引き出し、介護する家族の負担を減らす社会的ツールとなると強調。

鈴木英明氏は新商品の開発について、素材型とメニュー型の双方を価値訴求することで独自の展開を目指すという方向性を示した。