イオンリテールは、9月の防災月間を前に従来の概念にとらわれない新しい防災活動として、防災を広義に捉えた「いざ活」を開始。防災食や防災グッズなどをワンストップで提供できる小売業の強みを活かしながら、防災用品の定番売場規模を2倍に拡大。ローリングストックを推奨しながら防災ギフトの提案など新たな取組みも行う。
東京・品川区イオンスタイル品川シーサイドで7日、「いざ活」の取組み発表会を開催。この中で伊藤竜也営業企画本部長は、「直近ではロシア・カムチャッカ半島付近の地震による津波、災害により、生活者は鬼気迫るものを感じたと思う。イオンでは、普段から備えのための防災を行ってきたが、8月からいざという時に適切な行動がとるための〝いざ活〟を開始した」と発表。当日は、日頃から地域防災やAED救急救命の啓発活動に従事しているプロレスラーの蝶野正洋氏を防災アンバサダーとして迎え、来店客を前に防災の心得や防災用品の説明。また東京消防庁 品川消防署と共に防災講習やAEDの勉強会などを行った。
防災は、備えなければいけないと思いながら、できていない人が意外に多い。そこで災害を“自分ゴト”として捉え、“いざ”というときに適切な行動を取れることを目的に「いざ活」を提唱した。
発表会では、水や食料の備蓄、災害時の家族の安否手段の確認、人を救うためのAED講習、家庭内の飲み水は1日1人2ℓのストックが必要、トイレ用水は大は6~8ℓ、小は4ℓが必要、大震災ではトイレの配管が壊れると汚染が発生するため水を流さないでトイレを使用する方法などを学んだ。

同社では、食料品を多めにストックして、消費しながら買い足すローリングストックを推奨。5年の長期保存が可能な長期保存食やパックごはん、レトルト食品、ストレス緩和のためのお菓子、赤ちゃん用ミルクなどのストックを提案。これらは、いざというときに持ち運びやすいよう旅行用キャリーケースに入れて保管。見落としがちなスキンケアやペット用品、アレルギー配慮食品、離乳食などと共に、化粧品やメイク落としシート、生理用品などはポーチに入れて保管。また「防災ギフト」の提案もあった。
発表会後、伊藤本部長らイオン関係者は、「防災用品の市場規模は2015年と比較して倍の売上があり、イオンの売上も南海トラフ地震臨時情報を契機に30%以上伸びている。今期は23年比で150%を目標にしている」と説明した。
更に「今までは3月と9月に防災コーナーを拡大展開してきたが、今年は防災コーナーを常設展開。ローリングストックという難しい言葉での考え方もあるが、少し多めに買うという考え方で対応し、まずは“いざ活”により、ストックを身近なものにして行きたい」と語った。