サントリー食品インターナショナルは真のグローバル飲料企業となり質の高い成長を目指していく。
2026年までの新・中期経営計画では23年を起点に、売上収益で一桁台半ば、営業利益で一桁台後半のCAGR(年平均成長率)を掲げ、営業利益率は10%以上を計画する。
新たにフリーキャッシュフローの目標も設定し、26年には過去最高となる1400億円強のキャッシュ創出を見込む。
24年セグメント別売上構成比は、日本43%・APAC(アジア・オセアニア)24%・欧州22%・米州11%。
23-26年での売上収益のCAGRは、日本2%、APAC9%、欧州5%、米州5%を計画。海外での開拓余地を目指し、日本は、グローバル展開のハブ機能としての役割も担う。
成長実現のための基本方針は、コアブランドイノベーションの推進などによるオーガニック成長とM&Aなどによる非連続成長の2つ。
オーガニック成長に向けては、本社が海外のグループ会社を引っ張るトップダウン型の経営ではなく、世界各地の好事例を水平展開していくことに重きを置く。
5月20日、取材に応じた小野真紀子社長は「ヨーロッパのベストプラクティスをアジアに持っていくとか、アジアのベストプラクティスを全世界にシェアするなど、本社はいろいろとサポートして、一方向ではなく双方向のつながりをもっと強めていきたい」と語る。
これまで海外畑を歩んできた小野社長によると、海外では失敗は職を失うリスクと捉えられるきらいがあり、失敗を恐れるあまりイノベーションが起こりにくくなっているという。
このような風潮や社員の気質を変えるべく、小野社長は失敗を恐れずチャレンジするサントリーの「やってみなはれ」の価値観を率先垂範。
「“失敗したら私が責任とるから心配しないでやってほしい”とのメッセージを発信し続け、徐々に浸透してきたかと思っている。変革を厭わないことも大事。日本もそうだが、ビジネス周りの環境がこれだけ変わってくると、自らもいい形で変わっていかないと生き残れないし勝てない」との見方を示す。
チャレンジ精神を植え付けつつ、コアブランドイノベーションについては日本の先進事例を海外に共有している。

日本は、変化する消費者の嗜好に対応したスピーディーな商品開発・リニューアル・イノベーションの先進エリアと位置付けられる。
21年に初めてフランスのオレンジジュース「Oasis」というブランドに日本式のやり方を導入した。
「日本でやってきた『生活者の本当に近くに寄り添ってニーズをつかみ、それを踏まえたブランドコンセプトや中味・パッケージへと磨きをかける』ということをブランドごとに行い、だいぶ根づいてきたようだ。『Oasis』は21年以降、連続成長を遂げ、日本のやり方が成功につながるということが現地のマーケティングチームも肌身で感じ腹落ちしているところ」との手応えを得る。
一方、日本で取り入れている海外の好事例には、収益を伴った売上成長戦略・RGM(Revenue Growth Management)を挙げる。
なお、今期業績予想は、売上収益1兆7960億円(5.8%増、為替中立4.5%増)、営業利益1610億円(0.5%増、為替中立1.7%減)、既存事業ベース(譲渡事業の損益影響などを控除した値)営業利益1715億円(2.2%増、為替中立0.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益900億円(3.7%減、為替中立6%減)を計画する。