創業350周年の「酒悦」は今春、“プチ贅沢”志向や売場の変化に対応し商品を大幅刷新。瓶詰では、国産原料や伝統製法にこだわった「酒悦暖簾」(税抜550円)、選ぶ楽しさのあるパッケージと手に取りやすい価格の「美味名彩」(同350円)シリーズを展開し、認知を広げている。
チルド向け「老舗のこだわり」シリーズからは、こだわりの「めんま」3種(極太・穂先・味付)に加えて、看板商品の「福神漬」と「らっきょう」をラインアップ(同350円)。順調な立ち上がりを見せている。
伝統を守りつつ現代のニーズに応える新たな取り組みについて、同社の組沢剛二氏に話を聞いた。
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――瓶詰のこだわりポイントは。
組沢 瓶詰の低迷要因に、売場の統一感がない点が挙げられる。瓶の大きさ・形がバラバラで中身も分かりにくい。結果、お客様の目に留まらず売場を素通りされてしまう。『酒悦暖簾』のパッケージは、酒悦のシンボルである暖簾と盛り付け写真を、『美味名彩』ではカラフルなイラストを採用し視認性を高めた。“ちょっと贅沢したい”気分に合う2価格帯で提案し、導入・売上ともに堅調推移している。
――メンマの品揃えを広げた理由について。
組沢 メンマはおつまみのほか、米価高騰による麺類需要増などから生ラーメンの具材として伸長している。以前は100円台が売上の主流だったが、ここ2~3年で250~500円の商品も伸びてきた。漬物と生麺は売場も近く、高価格帯商品とセットで選ばれているようだ。やや高単価だが、味・食感には自信がある。あるスーパーでは週販100個に達しており、リピーターも増えている。
――国産原料を選ぶ背景を教えてください。
組沢 創業以来、看板商品の福神漬にはすべて国産原料を使用してきた。その姿勢を他商品にも広げている。バイヤーや消費者からも好反応で、導入数・売上ともに計画を上回っている。原料確保やコストの課題はあるが、できる限り国産化を進めていく。
――御社の強みについて。
組沢 東洋水産との連携によるチルド輸送のほか、温度帯、店舗展開、商品開発において柔軟な対応が可能で、麺類とのセット販売や季節商品との連動など、売場での広がりを作っていける。瓶詰・チルド品ともにメーンユーザーはやや高年齢層だが、やり方次第では裾野も広げていけるだろう。老舗のこだわりを守りながら、今の酒悦だからできる提案で、食卓に楽しさと確かな味を届けたい。
