食品用プラ循環拡大へ ケミカルリサイクル実証実験 キユーピー、カスミなど6者 

茨城県で食品用プラスチック容器の「ケミカルリサイクル」を推進する実証実験がスタートした。

自治体やメーカーなど6者は2月14日に包括連携協定を締結し、キユーピー製品のプラ容器をリレー形式でつなぐ「プラリレープロジェクト」を発表。取り組みを通じて、必要な廃棄物の質と量など循環体制構築に向けた課題を検証する。参加するのは鹿嶋市、キユーピー、カスミ、リファインバース、三菱ケミカル、東洋製罐グループホールディングス。

プラスチック容器は、分別しやすいPETボトルは洗浄・粉砕・融解を経て「マテリアルリサイクル」ができる一方、ポリエチレンやポリプロピレンなど判別・リサイクルが難しい素材は焼却されることが多い。食品関連では、食品衛生法により再生資源の使用がほぼ飲料に限られてしまうことも循環の障壁となっている。

今回実施する「ケミカルリサイクル」は、回収資源を油の状態まで戻すもの。バージン原料と同等で品質が高く食品向けにも使用できるため、再生プラの利用拡大が期待できる。

まず「シーザーサラダドレッシング」ほかキユーピーのドレッシング3品のキャップ・中栓を、鹿嶋市の公立小中学校やカスミ鹿島スタジアム店で春頃から3か月ほど回収。リファインバースが一次処理をした後、三菱ケミカル茨城事業所に納品する。

プラスチックリレーの循環イメージ。左から右へ、形を変えて受け渡していく
プラスチックリレーの循環イメージ。左から右へ、形を変えて受け渡していく

次に、2025年度に実証運転を開始する年間処理能力2万トンのリサイクル設備で、超臨界水を用いた技術(日本初)で油化(マスバランス方式)。グループ会社の日本ポリエチレン、日本ポリプロで樹脂化する。

東洋製罐グループのメビウスパッケージング茨城工場で再度キャップ・中栓に成形したら、キユーピー五霞工場(茨城県猿島郡)でドレッシングを充填して製品化。25年夏頃に、カスミ鹿島スタジアム店で期間・数量限定での販売を予定する。

鹿嶋市は、実証実験の前後に市内の公立小中学校でプラ資源の調査学習や各社のプラント見学、リサイクルの教育プログラムなどを実施する。

26年3月までに、実証実験で洗い出した課題やフィードバックを6者共同の検証レポートにまとめて発表する。各業界や自治体との新たなルールづくりを推進する考え。

14日に市役所で開いた6者会見で、キユーピーの浜北剛サステナビリティ推進部長=写真右から2番目=は「2030年に18年度比バージンプラ削減率30%が当社の目標。個社では実現できないこの取り組みが成功するよう、自らの役割をしっかり果たす」と意気込みを表明。田口伸一鹿嶋市長=写真左=は「同じ志を持つ皆さまとともにサーキュラーエコノミーを実現したい」と語った。

左から玉城吾郎取締役素材ビジネス部長(リファインバース)/板東健彦ベーシックマテリアルズ&ポリマーズビジネスグループ戦略企画本部CN・CE戦略部長(三菱ケミカル)/三木逸平イノベーション推進室長(東洋製罐グループホールディングス)/伊神里美執行役員地域連携マネージャー(カスミ)
左から玉城吾郎取締役素材ビジネス部長(リファインバース)/板東健彦ベーシックマテリアルズ&ポリマーズビジネスグループ戦略企画本部CN・CE戦略部長(三菱ケミカル)/三木逸平イノベーション推進室長(東洋製罐グループホールディングス)/伊神里美執行役員地域連携マネージャー(カスミ)
株式会社アピ 植物性素材