適正飲酒とお酒の価値を伝える「ドリンクスマイル」活動に昨秋から着手。今年1月には、酒類のカテゴリーごとに分かれていた組織を統一し「ノンアル部」を新設。矢継ぎ早の動きをみせるサントリーは、ノンアルコール飲料の市場拡大へ攻勢をかける。
「サントリーは創業以来、酒類文化の創造・発展に取り組んできた。最も大切なのは、お酒の持つ素晴らしい価値を伝えていくことだ」。2月5日の会見で、鳥井信宏社長が強調した。
「ノンアル飲料も、その価値は共通。単なるお酒の代替ではなく『アルコール0.00%のお酒』。清涼飲料ともアルコール飲料とも異なるノンアル飲料が、お客様に豊かな価値をもたらすと信じている」。
同社の推計によれば、ノンアル飲料市場は現在約1055億円。酒類と飲料を合計したうちの1%程度だという。これを30年までに1400億円以上へと拡大するべく、今年は50億円を投資。将来的には、50年ごろをめどに8000億円規模へと成長させたい考えだ。
酒が飲めないときや、体質的に飲めない人が代替として飲むイメージが根強いノンアル。これがユーザーや利用シーン拡大への歯止めになっているとみる同社では「SMARTからFUNな飲み物に」を掲げ、楽しいときに飲む積極的な選択肢への転換を目指す。
ブランドポートフォリオも再構築。ロングセラー「オールフリー」は4月からパッケージを刷新。さらには高いブランド認知度を生かし、ビールテイストだけだった従来のラインアップを拡張する。
![4月22日発売オールフリー クリア 4月22日発売「オールフリー クリア」](https://shokuhin.net/wp-content/uploads/2025/02/3-2-300x225.jpg)
新発売の「オールフリー クリア」は、爽快感を楽しめるサワーテイスト飲料。アルコール、カロリー、糖類、プリン体の“4つのゼロ”を実現しながら、レモンピールや各種ボタニカルなどで酒らしい複雑な味わいに仕上げた。〈レモン&ライム〉〈ビターオレンジ〉の2品。
サワーやハイボールテイストの「のんある酒場」も中味と外観を刷新。ワインテイスト「ワインの休日」とともに、酒らしい味わいを実現する脱アルコール製法や特徴を伝えることで未体験層の興味を喚起する。
業務用のMDも強化。現状の比率は家庭用の7分の1程度にとどまることから、さまざまな清涼飲料で割って楽しめる“ベースのノンアル”を飲食店向けに開発中だ。
4月から開始するコミュニケーションのキーメッセージは「攻めのノンアルしちゃおっか。」。イメージを変え、前向きな選択肢とすることを狙う。各種イベントへの出展やプロモーション、100万人規模サンプリングなどを通じた、顧客との接点拡充も進める。
「私も含めて、ノンアルってそんなに大きくなるの?と半信半疑でやってきたことが一番の課題。お酒の代替というイメージを社内の人間も持っていたが、もっとノンアルを楽しむことが必要だと気づいた。どこのメーカーがやるとかではなく、みんなで盛り上げていかねば」(鳥井氏)
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