明星食品 五重塔戦略「春夏夏の陣」 汁なし麺拡大戦略が始動

明星食品は、消費行動の多様化に応える「明星 五重塔戦略」の継続に加え、2025年は「一平ちゃん夜店の焼そば」「ぶぶか油そば」など自社の得意分野を生かした「明星 汁なし麺拡大戦略」も推進する。新施策は近年顕著な猛暑・残暑の長期化を念頭に置いて企画した。

豊留昭浩社長は「日本の気候は四季から五季(春夏夏秋冬)に変わってきたと言われるが、今年は暑い夏でも即席麺がポジティブに売れるような新商品やプロモーションを積極的に投入していく。汁なし麺の拡大のみならず市場全体の活性化にもつなげたい」と意気込む。

独自施策で“夏の即席麺市場”を活性化

このほど新商品発表会を開き、マーケティング方針を説明。今年も長い夏になることを見据えて「明星 五重塔戦略 春夏夏の陣」と銘打ち、「高級品志向」「レギュラー品志向」「格安プレミアム志向」「低価格品志向」「超低価格品志向」の5層で品揃えを拡充しつつ、汁なし麺(焼そば、油そばなど)を主軸に独自性のある積極策も展開する。

インテージSRI+データをもとにした同社推計によると、市場全体で汁なし麺の販売構成比(23年度)は14%だが、明星食品は35%と圧倒的に高い。カップ麺に限ると42%(市場平均17%)に上昇する。木所敬雄執行役員マーケティング本部長は「汁なし麺は当社の得意分野。近年は市場が拡大傾向にあり、特に8月の購入数量が増えている。夏の長期化をチャンスと捉えて販売を強化していく」と話す。

「一平ちゃん夜店の焼そば ショートケーキ味」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「一平ちゃん夜店の焼そば ショートケーキ味」

今年2月、同社汁なし麺の代表格「一平ちゃん夜店の焼そば」が発売30周年を迎える。今期(24年4~12月)もブランド計で二ケタ増と好調だが、25年は年間を通じて記念施策を計画。今春は定番フレーバーをブラッシュアップし、パッケージはロゴの大きさを揃え統一感を図った。公式Xアカウントでは2月14日まで「クセがつよい一平ちゃん復活総選挙」を実施中。

「コーンポタージュ味」「チョコソース」など5品がエントリーし、1位に選ばれたフレーバーを商品化する。2月17日には「ショートケーキ味」を発売。16年に発売し大きな反響を呼んだ商品が9年ぶりに復活するもので、今回はスイーツ系の味わいに振り切った。SNS映えを狙った話題喚起策も予定する。「盛夏に向けても食欲を刺激する新商品をどんどん発売していく」(豊留社長)。

「ぶぶか油そば」の販売実績が今期7割増と絶好調だ。24年春の品質リニューアルに加え、ブレイクのきっかけはSNSの「飯テロ動画」。唯一無二の食べ応えが若者を中心に圧倒的な支持を得ている。4月に関西エリアの体育会系学生向けにサンプリング(約5000食)、5月にSNSで人気女子大生クリエイターとコラボした食べ方提案を予定するなど、さらなるファン拡大を図る。

ロングセラーの袋麺「チャルメラ」からは汁なし麺の「油そば」を3月3日に発売。国産ホタテ100%のだしをきかせた味わいが特長で、「しょうゆ」「宮崎辛麺」「豚骨」に続くシリーズの第4フレーバーに育成する。

「麺神」はもっちり食感の超極太麺が味わえるブランド。刺激的な辛さとやみつきになる旨さを兼ね備えた袋麺「辛旨台湾まぜそば」を3月17日に発売する。

 「チャルメラ しょうゆラーメン 5食パック 復刻版」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
 「チャルメラ しょうゆラーメン 5食パック 復刻版」

昭和100年に「チャルメラ」など復刻版

昭和元年から数えて「昭和100年」に当たる今年、同社は創立75周年を迎える。それらを記念し、ロングセラーの袋麺「チャルメラ」(1966年)とカップ麺「一平ちゃん」(1993年)の復刻版を商品化。いずれも昔懐かしい当時の味わいを再現した。発売は大阪・関西万博の開幕にあわせ、前者は4月21日、後者は同14日に設定。世間で予想される昭和回顧やレトロ消費の盛り上がりも追い風にしたい考えだ。

株式会社アピ 植物性素材 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)