ナガセヴィータ 「世界食料デー」に社内イベント 支援国の給食を昼食メニューに

NAGASEグループのナガセヴィータは、16日の「世界食料デー」に合わせて、社内イベントを催した。岡山第二工場・岡山機能糖質工場内の社員食堂にて、WFP国連世界食糧計画(国連WFP)が学校給食を支援する地域(主にアフリカ)で食べられている食事を提供するとともに、国連WFP協会職員による活動の解説や動画の放映、レッドカップキャンペーンについて紹介した。

同社では、国連WFPの世界中の飢餓をなくす取り組みに賛同して、コーポレートプログラムにパートナーとして参加。2022年から3年間、学校給食支援への寄付を行っている。今回のイベントは同社従業員にも世界の飢餓問題について学び、持続可能な社会の実現に向けて、行動を考えるきっかけにしてもらおうと催したもの。

アフリカ料理の定食 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
アフリカ料理の定食

当日、食堂では地元岡山でインディカ米を生産する農家から提供された米飯とともに、ケバブ風豚肉のロースト、南アフリカ料理のチャカラカ、クスクスのサラダ、ウガンダの牛肉スープとセットになった定食約150食を用意した。「アフリカでよく食べられている料理から、日本でも馴染みやすいメニューを調べ、調理や提供方法を模索しながら実現した」(サスティナビリティ経営部門コミュニケーションデザイン部)。

また食堂横スペースには、国連WFPの取り組みを紹介するコーナーを設置。商品売上の一部を学校給食支援に寄付する「レッドカップキャンペーン」対象商品などを陳列した。体験した従業員からは、「初めて食べたが、意外と美味しくて驚いた」「身近な商品に赤いカップのマークがあることを知り、気づきのきっかけになった」などの声が聞かれた。

今回のイベントに協力した国連WFP協会の青木創・理事事務局長は、世界の飢餓の状況について「飢餓人口は約8億人。一時期5~6億人まで減少したが、コロナ禍やウクライナ侵攻、パレスチナ紛争などで再び増加傾向。各国が協力して、裾野まで広く支援活動を続けることが重要だ」と強調した。

安場直樹社長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
安場直樹社長

「多様性を企業成長の糧に」安場直樹社長

食堂で従業員とともに、食事体験をした安場直樹社長は、同社事業とSDGsのかかわりについて次の通り語った。

当社は、SDGsのテーマのうち、4つのマテリアリティ(重要課題)を定めている。今回のイベントはそのうちの一つ「安定的な食料確保」の一環として実施。2021年に東京で行われた「栄養サミット」において、当社は誓約を出した。今後も国連WFPへの支援を継続するとともに、当社事業によって持続可能な食料システムの構築に貢献したい。

フードシステムには「生産」「加工」「流通」「消費」の4カテゴリーがあり、当社素材はすべての分野にかかわっている。多機能糖質「トレハロース」は、自然由来の身体にも環境にも優しい素材。生産では農業のバイオ肥料の安定化と化学肥料の使用低減、農作物の収率向上に貢献している。食品加工では、様々な分野にいろんな用途で利用されている。

流通においては、でんぷんの老化を抑制し食品を長持ちさせる。特に近年の冷凍革命では、解凍後の美味しさを保つために使われている。消費では廃棄ロスにも貢献。例えばみかんの皮など普通なら廃棄されるものが、ドライフーズとして生まれ変わっている。食品ロスを減らすことができれば、世界の食料確保と飢餓ゼロにつながる。

今回の食料デーの取り組みを通じて、世界にはこんな食事があるのだと多様性を感じてもらいたい。発展途上の社会では同一性が重視されるが、ある程度成熟が進むと、価値創造のためには多様性が必要。日本でも戦国時代初期の城は木造だったが、やがていろんな石が積み重なって城壁や土台が造られ、強固な城となった。

当社も林原(旧・社名)から成長し、多様性を採り入れることで世界へ進出しようと取り組んでいる。サスティナブルな取り組みも多様性の一環。イベントを通して、従業員には多様性を感じて成長への糧にしてもらえればと思う。