加工食品調味料・カレー類マルトモ 業界シェア30%へ 首都圏強化に力 土居幹治専務に聞く

マルトモ 業界シェア30%へ 首都圏強化に力 土居幹治専務に聞く

かつお節、調味料などを展開するマルトモでは、4~9月の上半期売上高は6%伸長。家庭用の高付加価値商品の好調や業務用の「だしコン」事業による販売拡大が寄与した。30年度の達成目標に掲げる、削り節業界でシェア30%に着実に歩みを進めている。土居幹治専務に近況を聞いた。

――上半期の状況を。

土居 4~9月上半期売上高は106%で着地する見込み。商品価値が認められて店頭に並び、お客様に伝わるという一連の流れがうまくいった結果だと感じる。売上の内訳は削り節108%、だしの素105%。中期計画の最終年、25年度に掲げる売上高250億円の目標に対し、1年前倒しして下期に達成できそうだ。

――家庭用、業務用それぞれの進捗は。

土居 家庭用は107%。生珍味以外はほぼプラスで推移した。かつお節の「プレ節」や「だしの力」など既存品が好調だったほか、「めっちゃ使えるふわふわ かつお粉・花かつお」「煮干し削っちゃいました」、ふりかけ「素直な、おかか。」など近年発売した高付加価値商品やペット商品の動きがよい。

秋冬には鍋つゆ「だし小鍋」の販売を強化する。かつお節屋ならではのだし感にこだわった。この秋には広島の老舗醤油アサムラサキとコラボした「かき醤油鍋」を新発売したが、導入率が高い。既存品も同時に中身をグレードアップしてより美味しくした。

業務用は105%。だしパックや液体だし、秘蔵だしが「だしのコンサルタント(だしコン)」の成果で伸びた。「だしコン」は業務用事業ブランドで、質とコストを追求したレシピを具現化するため、データに基づいて課題を抽出。取引先ごとに合った最適解を導き出している。かつお節はコモディティ商品のためどれも同じと言われるが、例えばピーマンの炒めものにかつお節を乗せると、苦味、渋みが取れてマイルドな味になる。

調理の世界ではこうした味変は常識だが、なぜこういう味になるのかをエビデンスで裏付けをした方が、万人が理解しやすい。当社では分析装置などを使い、数値と分析チャートで見える化している。これまで取引がないところに「だしコン」を提案して、8割近い確率で新規獲得につながっている。

――下期の販売政策は。

土居 原料はやや落ち着きつつあるものの、不透明で予断を許さない状況は続いている。消費者に還元するために11~12月には「徳用かつおパック」「花かつお」で増量セールを行う。下期の見通しも順調だが、首都圏が弱いのが課題。目標に掲げる業界シェア30%の達成には、首都圏売上を上げたい。そのための施策として12月には東京駅構内でサンプリングを実施するとともに、CMも連動する。

――中長期的に取り組んでいること。

土居 「感動を、削りだそう。」を合言葉に、商品の販売やサービスを通じて、和食文化とかつお節の魅力を発信してきた。近年は領域を広げて、生活者のウェルビーイングに貢献。ペットと暮らす生活の楽しさを提供し、かつお節のたんぱく質による筋力維持やフレイル対策など健康支援に取り組む。

さらに今回初めて、生涯スポーツの応援と地域創生の観点から、12月に愛媛県松山市にて開催される「マルトモ杯タイゾー毎日テニスオープン」に特別協賛した。当社といろんな取り組みを深めているコメンテーターの杉村太蔵さんが、テニスカップを主催することになり当社も賛同した。また地域創生の一環として、JR四国のパッケージツアーに協力。だしの文化講座を通じて当社理念やだしの魅力を伝えながら、食文化の貢献に努めたい。

関連記事

インタビュー特集

Mizkan フルーティス刷新(後編) 「新・果実体験」を提供 リフレッシュしたい時に

Mizkan(以下ミツカン)は今春、食酢飲料「フルーティス」ブランドをリニューアルした。家庭用では業務用で人気の「シャインマスカット」「あまおう」「白桃」を、家庭用・業務用の双方で「ざくろ」を新発売した。

Mizkanフルーティス刷新(前編) 果実のおいしさが主役の新製法 マーケティング本部 田中菜々美氏に聞く

Mizkan(以下ミツカン)は今春、食酢飲料「フルーティス」ブランドをリニューアルした。

学生が育てるアーモンドの木 明日の社会へ価値循環 デルタインターナショナル×キャンポスブラザーズ

アーモンドの世界的産地である米カリフォルニア州でも、トップクラスの供給量を誇るキャンポスブラザーズ社。日本の販売総代理店を務めるデルタインターナショナルでは、学生の手でアーモンドの木を育てて商品化することを目指す玉川大学の...

原点は休憩中に見上げたキウイ 全国で食材発掘、生産者と企業つなぐ サッポロビールの地域創生事業

 明治9年(1876年)、北海道で新たな産業を興すべく設立された「開拓使麦酒醸造所」をルーツとするサッポロビール。創業150周年を迎える今も、その“開拓”の精神は息づく。ビール会社としての枠にとらわれない発想力を武器に、事業領域拡張の最前線で奮闘する人物に迫った。一次産業を担う各地の生産者と企業のバイヤーをつなぎ、農林水産物の需要創出をサポートするサッポロビールの地域創生事業。その原点は、外食企業のコンサルティングを手がける部署で九州の拠点に配属されていた、一人の担当者のひらめきだった。

カキ養殖の展望を聞く〈前編〉 “殻付き”市場拡大 環境変化と効率化に対応 シーパジャパン・吉本剛宏社長

瀬戸内海で養殖カキが甚大な被害を受け、生鮮市場だけでなく加工メーカーや流通にも影響が及んでいる。こうした中、従来の養殖方法とは異なるシングルシード養殖法が注目されている。