4.2 C
Tokyo
0.4 C
Osaka
2025 / 12 / 29 月曜日
ログイン
English
飲料嗜好飲料水素社会の実現に向けてトヨタとUCCが組む理由

水素社会の実現に向けてトヨタとUCCが組む理由

 トヨタとUCCグループは、CO2排出ゼロの水素社会の実現に向けて協働している。

 これまでにも数々のイベントで足並みを揃え、トヨタは水素自動車「ミライ」を、UCCは水素焙煎したコーヒーをそれぞれアピールしてきた。

 10月8日、「UCCグループサステナビリティレポート2024」の発刊を記念して開催されたメディア向けイベントに招かれたトヨタ自動車の濱村芳彦水素ファクトリ―チーフプロジェクトリーダーは「足元では水素代が高いとか水素ステーションが少ない・使えないといった問題があるのだが、将来、みんなが住みやすい地球をつくるというビジョンを夢見て続けることが非常に大事」と語る。

 水素自動車だけでは水素社会の実現はなしえないことから今後もUCCと歩調を合わせる。

 濱村氏によると、自動車が走行中に排出するCO2は既に全体のCO2の2割を切り、全ての車の燃料が全て再生可能なエネルギーに置き換わったとしても2割しか改善されない。
 一般的に自動車用燃料はほぼ自動車でしか使えないが、自動車用水素に関する技術は様々な分野での応用が可能。このような観点からUCCに期待を寄せる。

 「みんなが同じ方向を向くことが非常に大事。生活のどこにでもあるコーヒーのビッグネームであるUCCさまと一緒に仕事をさせていただくというのは、例えば車の中でコーヒーを飲んだときに思いが同じになる可能性がある」と述べる。

対談したトヨタ自動車の濱村氏(左)とUCCジャパンの里見氏
対談したトヨタ自動車の濱村氏(左)とUCCジャパンの里見氏

 一方、UCCは、水素を熱源とした焙煎とこれまで培ってきた焙煎ノウハウを組み合わせることで、従来の熱源では実現できない“水素焙煎ならではのおいしさ”をつくり出すことに成功した。

 UCCジャパンの里見陵執行役員サステナビリティ経営推進本部長は「研究途中のものも多数あるが、ガスと比べて、超弱火から強火までの熱のかけ方で非常に幅が出せる。水素しかできない焙煎プロファイルにより、特に酸味があるフルーティーなコーヒーはよりフルーティーに飲めることを技術的に確認した」と説明する。

 現在、UCCでは小型のテスト焙煎機で実証研究を重ね、2025年4月にレギュラーコーヒー製造の主力工場「UCC富士工場」で、世界初の試みとして大型水素焙煎機で水素焙煎コーヒーを量産して本格販売していく。

 「焙煎工場の動力源は電気とガスがほぼ半々。富士工場で焙煎機1台あたりのCO2排出量は年570トン。これが水素焙煎機に置き換わるとゼロになり大きなメリットがある」とみている。

 水素焙煎機で使用する水素は、再生エネルギーをベースとした電気で水の電気分解を行ってつくられるため実質的にCO2フリーの熱源となる。

 水素の調達コストが高い点に対しては、“おいしい。しかも環境にいい”の価値訴求に徹する。

 「おいしさをしっかり伝えて付加価値を購入のきっかけにしていただくのが大きな課題。ホテルや交通機関などCO2削減に意欲的な企業様と一緒になってアピールしていくのも手」との考えを明らかにする。

関連記事

インタビュー特集

小川珈琲、バリスタ育成とコーヒー産地での活動に先駆的に取り組みブランド力向上 基盤強固に新事業を展開 宇田吉範社長CEOが意欲

9月1日から現職の宇田吉範代表取締役社長/CEOは、バリスタとコーヒー産地での活動に先駆的に取り組み、小川珈琲のブランド力を引き上げた立役者。

米国の認証機関として、米国輸出への総合支援に自信 認証だけでなく、企業の社会的信頼を高める仕組みづくりもサポート ペリージョンソン ホールディング(PJR) 審査登録機関

ペリージョンソン ホールディング(TEL03-5774-9510)は、ISO認証、ビジネスコンサルティング、教育・研修事業を通して顧客のサステナビリティ活動の普及に尽力。

国際的情報豊富な感覚で審査を展開 細分化したフードセクターに精通した審査員多数 SGSジャパン(SGS) 審査登録機関

SGSはスイス・ジュネーブに本拠を置き、試験・検査・認証機関としては世界最大級の規模である。世界115カ国以上に2500以上の事務所と試験所を有し、各産業分野における検査や試験、公的機関により定められた規格の認証などを行っている検査・検証・試験認証のリーディングカンパニーである。

キンレイ「鍋焼うどん」、さらにおいしく進化 自社工場でかつお節を削り出した理由とは 50年のこだわり脈々と

キンレイの冷凍具付き麺「お水がいらない」シリーズが販売好調だ。2010年に立ち上げ、昨24年までに累計2億食以上を販売している。

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。