日本フードサービス協会がこのほど公表した、23年(1-12月)の「外食産業市場規模推計」は24兆1512億円(前年比20.2%増)となった。
昨年5月に新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に変わり、行動制限の緩和と人流が回復。インバウンド需要の回復もあり、2年連続で高い伸び率を記録した。19年(26.2兆円)との比較では8.1%減だが、コロナで18兆円まで落ち込んだ市場は、あと一歩のところまで回復してきたことが統計上でも裏付けられた。各部門別の推計値は以下の通り。
飲食店、宿泊施設、社員食堂、病院給食など全体の84%を占める「給食主体部門」の市場規模は20兆2793億円、前年比18.3%増。このうち、飲食店、宿泊施設などの「営業給食」は17兆1052億円、20.9%増と伸長した。
営業給食のうち、「飲食店」は14兆1313億円(18.6%増)。ファミリーレストランや一般食堂、専門料理店等を含む「食堂・レストラン」(19%増)、「そば・うどん店」(25.4%増)、「すし店」(15.6%増)、ファーストフードのハンバーガー店やお好み焼き店を含む「その他の飲食店」(12.4%増)といずれも増加した。
最も高い伸び率を示したのが「機内食」(75.3%増)。インバウンド需要の増加や宴会需要の回復により、「宿泊施設」は22年45.3%増、23年も30.9%増と伸長した。
19年比では「そば・うどん店」(4.8%増)、「その他の飲食店」(27.3%増)がコロナ前の実績を上回った。
「集団給食」は3兆1741億円(6.2%増)。「学校給食」(主に小中学校など)の実施数は減少したものの給食費の上昇で4%増。「事業所給食」はメニュー単価上昇や雇用者数の増加、テレワークからオフィスワークへの回帰もあり、社員食堂(10.6%増)、弁当給食(9.5%増)ともに伸長した。
「料飲主体部門」は3兆8719億円。22年の40%増に続き、23年も31%増と伸長。宴会需要も中小規模から少しずつ戻り、持ち直し傾向が続いた。業態別では喫茶店(19.9%増)、居酒屋・ビヤホール(37.9%増)、料亭バー(40.3%増)。
持ち帰り弁当店や惣菜店など「料理品小売業」は7兆6316億円、3.1%増。外食産業市場規模に「料理品小売業」の市場規模を加えた「広義の外食産業市場規模」は31兆7828億円、前年比15.6%増。
なお「外食産業市場規模推計」は、日本標準産業分類(総務省)に準じて外食産業を分類、各種統計数字をもとに日本フードサービス協会および食の安全・安心財団が推計。コロナ禍の統計公表遅れもあり令和4年と令和5年の2年分の推計値をこのほど発表した。