全国11社で構成され菓子卸事業を展開するエヌエスグループは、トレンドや社会環境に対応した売場提案として、インフレ対策やZ世代向けの切り口を用意している。
7月10日と11日には、東京流通センター(東京都大田区)で展示会「Grandex(グランデックス)2024」を開催し数々の売場提案をお披露目した。
10日、開催に先立ち挨拶したエヌエス研究会の佐藤治男会長は「今回のGrandexのテーマは“お菓子売場を創造する”。エヌエスの売場提案ブースでは、非常に工夫し様々な提案をさせていただいている」と語った。
エヌエスの売場提案は、トレンド・社会環境、カテゴリ、クロス売場、地域フェアの4つのテーマに大別され、商品展示とともにパネルでエヌエスの調査データも公開。会場には、エヌエスの売場提案のほか、PB、催事、お薦めメーカーのブースが並ぶ。
トレンドや社会環境をテーマにしたエヌエスのブースで、エントランス付近に目立つように展示されていたのはインフレ対策コーナー。
2024年の値上げ要因は原材料の割合が大きいとし、24年1-10月に予定される値上げ品目のうち原材料高が90.5%を占めるとした。
猛暑や干ばつなどの天候不順による不作でカカオ豆などの価格が高騰中で、今後も菓子分野での値上げが強まると想定する。
インフレ対策売場としては、100円均一商品や久助(割れせんべい)、お値打ち感のある商品を多数取り揃えた。
新たな発見や楽しさ、満足を提供するものとしては、Z世代に向けた動画映えする菓子を提案。
動画で人が食べ物のおいしさを判断する基準は、視覚が約83%、聴覚が約11%との調査結果に基づき、棚には、“ザクザク”“シャリシャリ”“カリカリ”“バリバリ”の食音・食感別に商品を並べた。
インバウンド需要に着目した売場も提案。“お菓子を通して日本の魅力を発見”と題した棚には、グミ・素材系、キャンディ、チョコレート、ポケット・知育菓子、大袋・米菓、珍味・豆のカテゴリ別に商品を陳列した。
この中で和菓子のカテゴリでは、海外のSNSで話題沸騰となっているものとしてオブラートごと食べられるゼリーを紹介。欧米にはないお米を使った“もち”スイーツの人気ぶりも伝えた。
大阪万博関連の菓子や地元・大阪にゆかりのある菓子を並べたコーナーやレトロ菓子コーナーも展示。
健康・美容意識に対応するものとしてはプラントベースドフードの菓子を提案。代替肉・米粉・グルテンフリーなどのテーマ別に商品を紹介した。
防災意識の高まりにも対応し“おいしい防災・非常食”と題したコーナーには、長期保存のビスケットや羊羹、カロリー補給などの用途に適したブドウ糖訴求商品などを並べた。
間食に好適な“食べ切り”菓子のコーナーでは、グミを中心に、よく噛むことで満腹中枢を刺激する“食べすぎ予防商品”や低カロリー商品、小さなカバンに入れられる菓子などを並べる。
腸内環境を維持するため、おから、こんにゃく、さつまいもなど食物繊維を含む食品や高たんぱくな菓子が注目を浴びていることも紹介した。