京都発のフレッシュな味わいの日本酒一合缶とおつまみを手軽に味わえる「益や製菓」ブランドが注目を集めている。自宅で居酒屋気分を楽しめるほか、気軽に渡せるギフトとしても最適だ。
手がけるのは益屋(京都市下京区)の益田藍代表取締役。開発のきっかけは運営する飲食店に訪れた観光客の声だったという。「日本酒はおいしいだけでなく、とても奥深い魅力を持っている。たくさんの方に楽しんでいただけるようにしたい」(益田代表)と話す。
益屋は京都市内に日本酒を中心とした飲食店を3店舗運営し、ケータリング事業と食品の製造販売部門も展開。事業を始めて約9年経過したが、従業員は60人以上に増えた。チームワークを重視した働き方を推進し、女性比率が7割超に達することも特筆される。
最初の「益や酒店」がオープンしたのは2015年。益田代表は「男女問わず誰もが気軽に楽しめる日本酒バルを作りたかった。前職で内装の設計・施工を手掛けた経験も生かした」。日本酒の銘柄は京都のみならず全国から厳選した40種類以上を常時ラインアップ。「少しずつたくさんの種類を味わってもらいたい」との思いで半合(90㎖)サイズから提供する。
17年に新業態「サケホール益や」を出店。内観は洗練されたスタイリッシュな雰囲気で、天井が高く開放的な造りも特徴だ。グループでの来店客が多く、その中で日本酒を初めて飲んだり好きになったりする客も少なくない。社員の大浦千尋さんもそんな一人。前職で同僚と来店し、すっかり日本酒の世界に魅了され転職に至ったという。
20年オープンのカモガワアーツ&キッチンは、緑とアートに囲まれたカフェ・ギャラリー。19年に始めたケータリング事業の拠点として使うほか、3階部分は事務所としても利用する。
そして23年4月から日本酒一合缶とおつまみを揃えた「益や製菓」ブランドを本格展開する。
コンセプトは「日本酒を通じてより豊かに、より楽しく」。日本酒は地元京都の5蔵(銘柄:「キメラ」「英勲」「招徳」「神蔵」「城陽」など)とタッグを組み、どれもフレッシュな味わいにこだわった。1缶600~800円と一般的なカップ酒より割高だが、売れ行きは上々だという。
おつまみは居酒屋気分が味わえるラインアップ。自社のファクトリーに真空フライ製法を導入し、素材を生かしたおいしさはもちろんのこと、彩りが良く、栄養素を豊富に含む製品に仕上げた。「わさび空豆」「万願寺とうがらしとじゃこの鰹和え」「あさりと九条ねぎの酒蒸し」「甘海老の素揚げ 琴引きの塩」などが売れ筋。各種商品を詰め合わせたギフトで季節感やペアリングも訴求する。
販売はECや一部百貨店のほか、京都タワー内に常設店をオープン。東京・大阪・福岡などの都市でもポップアップショップを随時出店している。
今後に向け、益田代表は「輸出にも力を入れたい」とコメント。「『益や製菓』の商品は軽い・割れない・常温保存であることも特長。6月には東京ビッグサイトで開催された『“日本の食品”輸出EXPO』に出展しアピールした。すでに欧米や台湾の方々から関心を寄せられている」。