セブン-イレブン・ジャパンは基本商品の磨き込みを徹底していく――。
3月27日、商品政策の記者説明会で青山誠一取締役常務執行役員商品戦略本部長兼商品本部長が冒頭の方向性を明らかにした。
中食がコンビニの業態の垣根を超えて競争激化していることや、食に対する志向の変化が背景。
コロナ禍を経て働き方や行動様式が大きく変化し、これに伴い中食市場も激変にさらされているという。
青山氏は「食品スーパーやドラッグストアなど様々な業態が中食市場にどんどん参入している。当社は今一度、基本商品をきちんと磨き込み、それをお客様に知っていただき、コアコンピタンス・企業としての強みをより追求していく一年にしていく」と意欲をのぞかせる。
「惣菜白書」(日本惣菜協会)によると、2022年の中食(惣菜)市場は前年比3.5%増の10兆4652億円。
業態別では食品スーパーが躍進し、コロナ禍前の19年比で12.4%増を記録。市場規模は3兆円に達しコンビニと肩を並べる規模に成長している。
「中食は食品スーパーがコンビニの伸びを上回る勢いで伸ばしており業態を超えた競争が起きている。業態ごとに強みがあり、食品スーパーであればやはりライブ感、ドラッグストアであれば経済性に強みがあると私なりに思っている。その中でコンビニとしては、おいしさを磨き上げることが重要」とみている。
おいしさの追求にあたり経済性も加味していく。
「おいしくしたから価格が高くなるというのは、今のインフレの中ではなかなか難しい。製造面の無理・無駄を省き、原材料についてはより川上に入っていく。結果として、この行為そのものも商品の磨き込みにつながると確信している」と語る。
磨き込み商品の好例には、今年各所で開催された加盟店向け商品展示会で一番評価が高い「セブンプレミアム さばの味噌煮」を挙げる。
「ごくごく日本的な商品だが、原材料である鯖の仕入れ方法や加熱の工夫などやりながら商品を一品一品磨いていくことが重要。松・竹・梅の価格戦略のバランスをきちんととって様々なお客様に対応できるようにしていきたい」と説明する。
外部環境については、インフレで消費マインドが低下していることに着目する。
「30数年ぶりのインフレと言われ、消費者物価指数が高まり続ける反面、実質賃金はまだまだ伸び切れていない。従来、様々な調査を行うと、健康志向が非常に高かったが、ここにきて経済性志向が健康志向を上回るといったように食に対する志向も変化している」との見方を示す。
商品政策としては、おにぎり・「セブンカフェ」・揚げ物・サラダの顧客接点の強い4つカテゴリーを強化して来店頻度の向上を目指す。
顧客接点の強さは、昨年、月2~3回から月4回以上へと来店頻度が増加した層の購入動向から導き出された。
「カップデリ」など差別化商品の生活者への価値浸透が今一つであるとし、商品展示会などを通じて加盟店オーナーに商品価値の理解を促すところから強化していく。