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能登半島地震で防災食めぐる課題が浮上 「賞味期限」偏重見直しも

今年1月1日に発生した能登半島地震。甚大な被害をもたらし、今でも懸命な復旧・復興活動が続いている。現在約400億円弱とみられる防災食市場は、発生後2か月間で前年同期比約2~3倍強の売上を記録した半面、ECの需要急増に伴う需給調整の難しさや、賞味期限偏重策(平均5年)が足かせとなり、在庫管理の難しさなど様々な課題が浮き彫りになった。

防災食は防災専門卸・商社が直接、自治体や大手民間企業、病院・施設などの末端顧客に販売する法人需要と、ECやスーパー、ホームセンター、ディスカウントストアなどで販売する個人需要に分かれ、法人が6~7割を占める特異マーケットだ。

正月早々発生した能登半島地震で即刻反応したのがECチャネルだ。防災食メーカーは法人向け在庫をECに充て、その場を凌いだが、その後も余震が長引いており、法人への出荷遅れが目立っている。法人向けは東日本大震災が発生した3月と「防災の日」の9月が需要の山。今年も両時期を目指して計画生産してきたが、「能登」により在庫がECに流れ、需給調整の難しさが表面化。賞味期限(平均5年)が固定化していることで作り置きできず、賞味期限偏重策が足かせになっているメーカーもある。

意識の変化はどうか。防災食(非常食)の備蓄率は59.9%と3年連続増加したが、「全く備えていない」も35.7%と高い(ミドリ安全調べ)。食べた分だけ買い足す備蓄方法のローリングストックも認知率は高いが、実施率は認知率を大きく下回り、ローリングストックの啓発活動が期待される。

「能登」では2か月以上経った今でも断水が発生しており、水道管の老朽化・耐震性を「水道40年問題」と定義した動きもある。ミネラルウォーターの供給は急ピッチで進んでいるが、水を使って食べる防災食にも課題を投げかけたようだ。

防災食の中身(味)の変化は多様性につきる。今やアルファ米やミネラルウォーター、カップ麺、米飯類、缶詰などが主流だが、パン、包装餅、米粉クッキー、スープ、シリアル、チョコレート、デザート、栄養補助食品など主食から副食、汁物、デザートまで登場。おいしさや栄養性、健康性、簡便性、環境配慮など普段の食と変わらない食品がコンセプトになってきた。被災者には乳幼児やアレルギー、外国人、病人など要配慮者も多く、ハラールやノンアレルギー、減塩・減糖、フードロスへの対応も求められている。

個人需要向けのホームセンターやディスカウントストアなどにより新たな取り組みも始まった。スーパーのように春秋年2回の集中展示にとどまらず、日常食の観点から常設展示やイベント展示したり、アウトドア用品と連携する動きも出ており、他の流通への派生が期待されている。

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