乳業団体合同新年賀詞交歓会(主催:日本乳業協会など13団体・社)が9日、都内で開かれた。今年は規模をコロナ禍前に戻し、業界関係者ら約770人が参加した。
代表してあいさつした日本乳業協会の松田克也会長は、「生乳生産は一昨年からの生産抑制に加え、夏場の猛暑もあって2年連続で前年を下回る状況。2024年は日本経済の回復・安泰が求められるなか、酪農乳業界の課題は山積みだ。今年から新たな酪肉近代化基本方針策定に向けた議論も開始されるが、将来を見据えた方向性を探り、外部変化に柔軟に対応して課題一つ一つを解決することが重要」と述べ、乳業事業の改善、牛乳乳製品の衛生・品質向上と普及啓発、環境への対応に向け関係企業と連携し一層の力を発揮していく方針を示した。
物流2024年問題に向けては、昨年末に同協会が示した自主行動計画に加え、24年度は会員企業ごとの自主行動計画策定に向けた支援を行う。牛乳乳製品の衛生・品質向上に向けては、昨年から小規模事業者を対象に実際の製造現場での支援を開始した。24年4月1日に食品衛生基準行政が厚生労働省から消費者庁に移管されることから、同庁との連携を一層深めていく方針を示した。
大貫陽一Jミルク会長は23年を振り返って「飼料価格の高止まりや需給緩和のなか複数回の価格改定を実施したが、酪農の事業環境は厳しい状況が続いた。新型コロナ5類移行に伴い人流は回復してきたが、生活防衛意識のもと消費停滞が続いた。夏の酷暑は牛乳などの消費を後押しした一面もあったが、繁殖など乳牛への影響が大きかったと聞いており、今後の生乳生産の状況を危惧している」と述べた。
Jミルクは農水産省とともに「牛乳でスマイルプロジェクト」を推進。23年12月時点で500を超える企業・団体が参加し、休校中の子どもたちのカルシウム不足を補う「土日ミルク」の活動も認知が高まっていることから、引き続き積極的な消費喚起を行う。「消費喚起のなかでの価格改定は、消費者に理解いただくのが難しいところだが、将来の酪農乳業の存在価値、牛乳乳製品の価値を伝える取り組みを続けていく」と力を込めた。
中締めでは佐藤雅俊全国飲用牛乳公正取引協議会委員長があいさつ。訪日外国人観光客がコロナ禍前へ回復し、業務用需要も回復基調など一部で明るい兆しも見え始めていることから「酪農乳業の持続的な成長のため安定的な供給を目指すべく、家庭内需要の底上げや消費者への理解醸成を図ることが最も重要」と語り、能登半島地震の一日も早い復興と、酪農乳業界のますますの発展を祈願した。