味の素 米国・遺伝子治療薬会社を買収

味の素は13日、遺伝子治療薬を受託製造する米Forge Biologics Holdings, LLC(社長兼CEO:Timothy J. Miller、本社・米国オハイオ州)の全持分を約554百万米ドル(約828億円)で買収した。連結子会社である味の素北米ホールディングス社を通じて行われた。

遺伝子治療とは、体内の遺伝子を修正・追加すること。病気の原因となる遺伝子異常を治療する医療技術のことで、既存の治療法では十分に治療できない遺伝性の疾患を対象としている。

Forge社は、遺伝子治療薬製造バリューチェーン上の2つの要所であるAAV製造とプラスミドDNAの製造能力をもつ遺伝子治療薬CDMOであり、また高純度・高収率のAAVベクター生産技術を持っている。

味の素はヘルスケア領域では、アミノ酸および低分子医薬CDMO(受託製造)既存事業の確実な成長に加えて、核酸医薬・バイオ医薬品の受託製造事業や再生医療・抗体用培地、メディカルフード事業などによる成長加速を見込んでおり、さらに中長期的な視点から、先端モダリティーにおける成長の布石として遺伝子治療薬CDMOを次世代の戦略事業の一つとして位置付けている。

両社は13日にオンラインで記者会見し、藤江太郎社長は「アミノサイエンスで人・社会・地球のWell-beingに貢献することを目指しており、ASVにおいて『経済価値』としてアミノサイエンスの進化を通してヘルスケア領域での成長を加速。『社会価値』では遺伝子治療の進化により希少疾病に苦しむ患者さんへの貢献を拡大する」と語った。