1981年に菓子食品業界で初となるのど飴「健康のど飴」を発売したカンロは、全国的に気温が下がり始める11月中旬に向けて、のど飴需要を喚起すべく話題発信している。
11月10日、この一環で、同15日の「のど飴の日」に先立ち、のど飴の製作現場となるR&D豊洲研究所(東京都江東区)をメディアに公開した。
研究員が飴づくりを実演し、のど飴に使用するハーブなどがお披露目された。
同研究所は“開かれた研究所”として2015年に開所。発信が滞ったコロナ禍を経て、再び外部に公開していく構えだ。
本郷成彦研究・技術本部研究推進部部長は「少し手狭ではあるが、そこのところは改良したい。現在、バイヤー様などに公開しているが、周辺の幼稚園・保育園のお子様にも楽しんでいただけるようにしていきたい」と意欲をのぞかせる。
のど飴は、医薬品のど飴・医薬部外品のど飴・食系のど飴(食品素材として使用が認められているものを使用したのど飴)の大きく3つに分類される。
この中で菓子として販売される食系のど飴は、法令や業界で明確に定義されていないが、カンロではハーブエキスが入っているものをのど飴と定義している。
研究開発にあたっては、約60種類のハーブの中から組み合わせて「糖×素材」「糖×機能性」の2つの方向性で進めている。
「糖の持つ美味しさと素材の持つ美味しさを組み合わせることで美味しさを引き出す技術・新製法を開発するのが1つ目の方向性。2つ目としては糖の機能とそれ以外のキャンディーに似つかわしい機能を組み合わせる方向性がある」と説明する。
のど飴は「糖×機能性」を代表するもので、のど飴においてカンロではハーブエキスの中でホップエキスの研究に注力している。
のどの炎症は、主にA群溶連菌がのどの粘膜に侵入し、生体が細菌を排除しようとする免疫反応(炎症反応)によって生じる。ホップエキスは、このA群溶連菌に対し抗菌・殺菌効果が期待される。
飴の約90%を構成する糖質の研究にも取り組み、商品は、糖質を気にしない人や糖質を気にする人(健常者・糖尿病患者など糖質制限を必要とする人)など、幅広いユーザーに対応して取り揃えている。
近年の動きとして、糖類の含有量が100g当たり0.5g以下のノンシュガータイプが拡大傾向にあると指摘するのは、坂東美紀コア事業本部ノンシュガーブランド部部長。
ノンシュガーキャンディ市場の中で、ノンシュガーのど飴が4分3の販売金額を占めている点に触れ、その背景について「のどが気になると連食されることが多いため、ノンシュガーをメリットに感じていただけている」との見方を示す。
カンロは2020年にノンシュガーのど飴の配合を見直し「シンプルな原料でジューシーな味わいを表現している」。
のど飴市場は、コロナ禍によるマスク着用や外出機会の減少で20年と21年の2年連続で前年を下回った。その後、のどの痛みを伴うオミクロン株の流行などにより22年中盤から回復傾向にあり、今年5月に新型コロナウイルスが5類へ移行して以降、勢いづく。
木本康之コア事業本部健康のど飴・ボイスケアブランド部部長は「のど飴市場は今年、ずっと伸長傾向にあり、当社第3四半期の好業績にものど飴の売上が大きく貢献した」と振り返る。
カンロののど飴は、健康のど飴・ノンシュガーのど飴・その他の3つに大別される。この中で健康のど飴は、1991年をピークに競合商品の増加により漸減傾向にあったが、のど飴市場の回復に伴い大きく伸長。「約20年前の売上を超えるほどになっている」と語る。
現在、健康のど飴の大幅伸長を牽引しているのは「健康のど飴たたかうマヌカハニー」という。