三菱食品は11月1日、通期の連結業績予想を上方修正した。4-9月の上期連結は売上高1兆422億円(前年比4.4%増)、経常利益147億円(32.3%増)。「非常に好調な決算となった」(川本洋史取締役常務執行役員CFO)。通期予想は売上高2兆800億円(従来予想比600億円増)、経常利益は過去最高となる310億円(同50億円増)、ROE11.6%と二ケタの大台を超える見通しだ。
上期はコンビニや業務用取引で本格的な人流回復が進んだことや、価格改定効果もあり、全業態で売上が伸長。増収による粗利益増加が、物流費や人件費など販管費上昇を吸収し、大幅増益につなげた。継続的な採算管理強化や機能向上、効率化の取り組みも収益拡大に寄与した。
京谷裕社長は「今期最終年度を迎える『中経2023』を経て、収益基盤の強化が進んできた」と評価。長年にわたる取引先・得意先との戦略的パートナーシップの構築、継続的な機能向上・効率化の取り組みが奏功。リテールサポート機能や物流の効率化など、デジタル技術を活用し、新たな付加価値を創出する取り組みも広がってきた。
成長戦略に位置付けるリテールサポートでは、DD(データ×デジタル)マーケティングによる新たな需要創造を推進。「リテールメディアやアプリを活用した販促施策による収益拡大にとどまらず、メーカー、小売業との関係強化にも寄与している」。
物流事業では、車両空きスペースのシェアリングサービスや動態管理システム、入荷受付予約システムの導入拡大を推進。デジタル技術の活用や協業を通じて、荷待ち・荷役作業の削減、積載率向上を進め、2024年問題への対応を急ぐ。
そのうえで、京谷社長は「持続可能なサプライチェーンの構築に向けて、食品流通全体の収益基盤の安定化、最適化が不可欠。環境変化にあわせて、今後も継続的にサプライチェーンの最適化と整流化を推進し続けていく」と強調。消費環境の行方については「コストプッシュ型のインフレに対応した適切な価格転嫁と賃上げの循環が広がることが重要」と語った。
下期に向けて、最終年度を迎える「中経2023」の総仕上げとして、次世代流通業への進化を加速させる。また、現在策定中の次期経営方針について「過去の踏襲ではなく、2030年のありたい姿をバックキャストで描き、新たな価値や事業モデルの変革を追求し、持続的な安定収益拡大を目指す」考えを示した。