光の多いところでは、影も強く

化学品メーカーに最近パートで働き始めた知人の話。売り手市場ということもあり好待遇と満足気。気になるのは会議室などに置かれる化学薬品という。何かの拍子に薬品がこぼれたりでもしたら人体に影響はないのかと不安とのこと。不安を社員にぶつけると「大丈夫」の一点張り。その根拠は明かされない。

▼単に大丈夫なワケを説明するのが面倒というのも考えられるが、質問された社員自身も安全性について腹落ちしていなければ、根っこのところは性加害問題を起こした芸能事務所と企業の過去のつきあいに通じると考える。性加害を仄聞したものの、長い物に巻かれて真偽を確かめることなく付き合いを続けてしまったことが取り沙汰されている。

▼日常当たり前に行っていることや事業基盤に疑いの目を向けて行動に移すのは、言うは易く行うは難しで相当な胆力を要すると想像。追究の結果、生活の拠り所を失いかねないからだ。

▼「光の多いところでは、影も強くなる」とはドイツの詩人ゲーテの言葉。隆盛を極めるPB。その裏で泣いている人はいないのだろうか。